あなた「海人くんはさ~」
あなたさんはなにかにつけ僕に質問をした。
僕に興味がある、というよりも、この古書店
で興味の対象になり得るのが僕という存在だけ
という感じだ。 こんなにも素敵な古本たちに
囲まれているのに、それには見向きもしない。
じゃあ、どうして彼女は古書店なんかに来てい
るのだろうか、という出会ってまず抱いた根本
的な疑問に回帰しそうだ。
でも、悪い気はしなかった。いいや、少し、
少しだけ、嬉しいと感じでしまっていた。
背まで伸びた黒の髪は雨の湿気を孕んで
艶かしく反射し、ワンピースの上からウエスト
に締められたベルトは身体の線を強調し彼女を
異性だと意識させる。 そしてなにより、
その以上に憂いを含んでいるような伏せがちな
二重の奥の瞳が、僕は好きだった。
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読んでくれてありがとうございます!!
次回ep 3. お楽しみに~ 😻
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。