「大きい街だなぁ…」
「あそこに立派な城が見えるだろ?城下町がここまで広がってるんだろうね」
"すごい大国なんだと思うよ" と谷崎さんが言う。確かに、向こうに見える城がとても立派な作りだ。
「見る限り私達の通貨と違うものが使われているみたいだから、役場や城に行ってみるのも手かもね」
太宰さんが街を眺めつつ言う。心中相手を探している訳ではなかったみたいだ。
それでも、可愛い女性がいれば直ぐに捕まえに行ってしまいそうだけど…。
「おや?素敵な女性が」
言わんこっちゃない!
「すみませんそこのお嬢さん、私と心中でも如何…」
「だーっ!すみません!何やってるんですか太宰さん…!」
初対面で文化も違う女性に心中の誘いなんて、何をしてるんだこの人!
僕が必死に頭を下げると、キョトンとしていた女性が話し掛けてきた。
「あの…。もしかして、別世界からいらっしゃった方?」
どうやら別世界から人が来るというのは、そんなに珍しいことではないみたいだ。
「そうなのだよ!私達急に知らない土地に来てしまって困っていてね」
太宰さんが肯定すると、女性の顔が青ざめる。な、何か行けないことを言ってしまっただろうか…
「そう、でしたか。」
「…余り目立たない方が良いですよ、私はこれで」
肩を竦め目を逸らして、それだけ言った女性は足早に去っていった。
"お誘い失敗しちゃった" と目をぱちくりしている太宰さん。それより、目立たない方が良いとはどういうことだろう?
「先程の女性は?」
森さんが不思議そうに問いかける。後から皆来てくれていたようだ。
「それが、逃げていってしまって…。余り目立たない方がいい、と言われましたけど」
「ほう…。私達が目立つと厄介事があるのかな」
「そうかもしれません」
目立たないように…。城を目指すとなれば偉い人の目に留まるんじゃ…事実上不可能じゃないか?
これからどうすればいいんだろう…。
───城下町の人混みを掻き分ける良く通る声。
それは、明らかに僕達を探しているのを示す声だった。
??「ここらにおられるらしい転生者様方は何方かなァ?」
やっっっと次回から我々さんが出ます!
次回はまた今度。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。