第6話

6日目
318
2025/10/30 11:59 更新
あなた
ははっ、久々に先生って呼ばれるとなんか痒いなー
愛瑠
言うほど久々ですか……?
あなた
細かいことはいいでしょー、愛瑠チャン
愛瑠
……………その呼び方やめてください
あなた
ごめんごめん、"風花"
風花
全く……………
『風花』と呼ばれた直後。愛瑠の姿がふんわりさせた茶髪とぱっちりしたキラキラした瞳の可愛らしい少女の姿から、黒髪ストレートの切れ長の目、スラリとした美女に変化した
あなた
じゃ、行こか
風花
…………………はい
二人は車に乗り込み、夜のヨコハマを駆けていった
風花
………………先生
あなた
なに?
風花
……………あの、なんで、いきなり……………………












































































































































































































風花
『自殺の手伝いして』なんて言ったんですか………?
震える声で風花はあなたの名前に聞く
あなた
…………………………
風花
あの日………………
数ヶ月前
あなた
ねーねー、風花ぁー
風花
どうしたんですか、先生…
あなた
俺さぁ、風花に………
あなた
一生のお願い、使ったことないよね?
風花
?……………
風花
言われてみてば、そうですね
突拍子もない事を聞かれ、風花は戸惑いながらも返す
あなた
じゃあ、今一生のお願い、使ってもいい?
風花
…………はぁ、いいですけど
風花
なんか変なお願いはやめてくださいよ?崖っぷちにしか咲かない薬草取ってこいとか……
あなた
自殺の手伝いして
風花
……………………………………………………ぇ?
驚く風花をまっすぐ見つめ、あなたの名前はいつもと変わらない笑みを浮かべていた
あなた
んー……………
あなた
じゃあ、ちょっと昔話しよっか
あなた
まず風花、俺の異能力、分かるよね?
風花
………『トップ・シークレット』、先生が秘密にしたいことは絶対にバレない、みたいな能力ですよね
あなた
そ、で
あなた
俺にはもう一個、能力があんの
風花
あなた
………………『祈願成就』
ボソリと嫌そうな声であなたの名前は異能力の名称を呟く
あなた
俺が望んだことは絶対に叶えられる、結構ぶっ壊れなんだよ、俺が望むのなら一回死んだやつも蘇る
風花
す、すごいじゃないですか………!
あなた
………………でもまぁ
あなた
この世ってうまくできてんだよ、幸も不幸も、
あなた
どっかで他人が幸せになるのなら、どっかで他人が不幸になる
風花
先生……………?
あなた
………………あぁ、ごめん
あなた
まぁ、つまり
あなた
叶った願い事と相殺するレベルの不幸が、俺には訪れる
風花
っえ…………
あなた
…………一番最初は母さんだった
あなた
火事に巻き込まれて、逃げ遅れた母さんを異能力を使って助けた
あなた
その1週間後、母さんは交通事故で死んだ
あなた
孤児院で馴染めなかった俺に声かけて最後まで仲良くしてくれたやつも
あなた
事故を防いだら、持病をこじらせて死んだ
あなた
最後は………恋人だった
風花
ッ!
あなた
戦闘中に銃弾が当たりそうだったのを、能力を使って防いだ
あなた
ッ………めっちゃ気をつけてた、のに
言葉を詰まらせる
風花
…………………
あなた
だから…もう人は愛さないって決めた
あなた
決めたはず、だったけど……………………
あなた
社長とかに出会ってさー……探偵社に入って
あなた
色んな奴に出会って…………
あなた
………まぁ、兎も角、俺いつの間にか
あなた
めっちゃヨコハマ好きになってたんだよなぁ
ヘラリと力なく笑う
風花
ッ……じゃあ!なんでッ!
風花は声を荒らげる
風花
なんでッ、大好きなヨコハマをッ!二度と見れないような行為をするんですかッ……!
あなたの名前の胸ぐらをつかみ、時折声をつまらせながら風花は訴えかける
あなた
………………
あなた
使っちまったんだよ、最近
あなた
異能力を
風花
あなた
それも現実改変レベルの……
あなた
フョードルが、魔人がヨコハマを焼け野原にしようとした
あなた
それを防ぐための異能力を使った
あなた
……………………風花、分かるだろ、聡いお前なら
風花
ッ………
あなた
異能力の反動で、次はヨコハマが滅びるかもしれない
あなた
だから…………俺の死で相殺する
あなた
ヨコハマを二度と見られないのも、探偵社とポートマフィアに嫌われるのも、俺にとっては最大の不幸だしな
いつの間にか車はとある崖にたどり着いていた
満天の星空が見える、綺麗な崖だった
風花
…………きれい
思わず風花は呟く
あなた
んは、だろ?
あなた
俺の一番お気に入りの場所
あなた
……………………死ぬには最適な場所
崖の端まで歩き、くるりと風花の方へ向く
あなた
…………あとは、打ち合わせ通りにね
風花
…………はい
あなた
ごめんね、いきなり自殺の手伝いして、なんて
風花
……………ほんとですよ
あなた
でも、なんだかんだ最後までやってくれるの、優しいよね、風花って
風花
………………ありがとうございます
あなた
‥‥‥………最後になんかある?
風花
……十年前
風花
私を助けてくれて、ありがとうございました
あなた
……………
風花
ほんとなら、死んでほしく、ないです………
あなた
…………ごめん
風花
ごめんっていうくらいなら、やめてくださいよ
あなた
それは無理
風花
はぁ…
風花
……………先生
風花
"さようなら"
あなた
うん、さよなら
タンッ
軽い音ともに、あなたの名前は落ちていった

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