第9話

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2024/04/25 09:20
私とテヒョンが海辺に着いたのは
人の多い賑やかな時間だった。


延々と広がる砂浜


透き通る青い海に、私は感嘆の声を上げた。


周りを見渡すと、たくさんの人が
サーフボードを持って、波に向かっていく


さっぱりした夏服に着替えたテヒョンは
背丈と同じくらいのサーフボードを支えながら
私のそばに立った。

テヒョン
テヒョン
こっち、ついてきて


慣れた様子で大きなサーフボードを
持ち上げたテヒョンは、私を連れて
海に向かった。


ビーチに向かうまでに


ウィンドサーフィンについては調べてきた
つもりだったけど、


思っていたよりも大きなサーフボードや


果てのない海を実際に目の前にして、
思わず及び腰になってしまった。

(なまえ)
あなた
…テヒョン
ほんとに私にもできるの?
???
大丈夫だって。
ウィンドサーフィンは猿でも出来るくらい簡単だから!


私は突然聞こえてきた声の方向へ
振り返った。


そこには自分の身長より
大きなサーフボードを引きずり


海から上がってくる男の子の姿があった。


男の子の隣にいるコーチは
「 彼には才能がある 」
と笑顔で褒めていた。


砂浜で待っていた母親も
私たちに気がついたようで


男の子を連れてこちらにやって来た。

男の子のオンマ
失礼な事を言って、本当にごめんなさい。
決して悪気はなくて…
(なまえ)
あなた
い、いえ
気にしないでください…
イヒョン
ホントのこと言っただけだもん
ウィンドサーフィンはすっごく簡単だよ


強引に連れてこられた男の子
「 イヒョンくん 」 は


小さな声で抗議して、
オンマに頭を軽く叩かれていた。


申し訳なさそうな母親の手から脱れた
イヒョンくんはなぜそんなに怒るのかと


不服そうな顔をしている。

イヒョン
見てろよ!
僕はすぐに「 スーパーバンク 」 を制覇してみせるからな!
(なまえ)
あなた
分かった分かった、
楽しみにしてるね ㅎ


ムキになってるのがなんだか可愛くて
私は少しからかうように返事した。

テヒョン
テヒョン
威勢が良いのは悪くないけど、
あの程度じゃ「 サンドバンク 」 も無理そうだね
(なまえ)
あなた
…え?
テヒョン
テヒョン
せっかくだから、
俺が見本見せてあげるよ


テヒョンはあっという間に
サーフボードを組み立てると、呆然とする
イヒョンくんに頷いた。


その泰然とした様子は


さっきまでとはまるで別人みたいだった。


まさか、
子供と張り合ってる?ㅎ


私と男の子のオンマは目を丸くして
見つめ合った。


テヒョンはサーフボードに乗り、
フィンを高く立てた


海風を受けながら、
自在にサーフボードを操り、波を捕まえて
進んでいく


そして、


あっという間に青い波の最高点に
飛び上がった。

(なまえ)
あなた
かっこいい…!


流れるように向きを変え


テヒョンは空中で体を回転させる。


空を横切ったサーフボードは
綺麗な半月を描きながら再び


波の頂点に戻って行った。

イヒョン
すごいバックカットだ!


「 バックカット 」 の意味を
聞く余裕もないくらい


私は波に乗るテヒョンの姿に


目を奪われていた。


視線がぶつかるだけで、
純粋にサーフィンを楽しむ彼の気持ちが
伝わってきた。


素晴らしいサーフィンを見て、


自分もやってみたいという気持ちが
むくむく沸いてきた。

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