第4話

4.赤く染まる予感
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2026/06/13 09:49 更新
プレゼン当日の朝、悠真は早めにオフィスに到着していた。資料の最終チェックを終え、鏡でネクタイを直す自分に、思わず苦笑する。

(……何だよこれ。デート前みてぇじゃん。)

そんな自分を認めるのが悔しい。だが城崎の「期待してる」という言葉が、胸の奥で静かに熱を灯していた。

出発の時間、二人は社用車に乗り込む。車内は静かで、エンジン音だけが響く。窓から差し込む朝の光が、城崎の横顔を照らした。

「緊張してるのか?」

「……まぁ、少しは。」

「大丈夫だ。お前の資料はよくできてる。胸を張れ。」

その一言に、心臓が跳ねる。視線を逸らした悠真は、窓の外に赤く色づき始めた街路樹を見つめた。

プレゼンは無事に終了した。顧客の反応も上々で、最後に握手を交わした城崎の瞳は、誇らしげに光っていた。

帰りの車内、夕日が街を赤く染める中、二人は無言だった。だが、沈黙は不思議と心地よい。やがて城崎がぽつりと呟く。

「……よくやったな。」

「……あ、ありがとうございます。」

夕焼けに照らされた横顔は、あの日非常階段で見た寂しげな姿とも違う。静かで、そしてどこか優しい。

(……やっぱり、この人のこと……)

胸の奥に芽生えた予感が、赤く染まる夕空のように、静かに広がっていった。

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