《同時刻:STPR事務所》
今日はあなたの下の名前の誕生日の前日、今はあなたの下の名前が事務所に来るのを待っている。本当は当日に祝いたかったのだが、都合が合わず前日に祝うことにした。
事務所の一室の壁にかけてある時計を見てふと思う。予定時間から既に30分が経過している。あなたの下の名前は遅刻をするような子ではないのを知っている、だからこそ不安が募ってしまう。数分前に連絡してみたが、音沙汰無し。さらに不安が募る。
そまちゃの言う通り、ばぁうくんもこの場に来ていない。道中あなたの下の名前と会って一緒に来ているのか、それともなにか事件に巻き込まれたのか……。
あの時のことがフラッシュバックして、頭を抑える。1年前事故で記憶を失ったあなたの下の名前、そしてその時その場に立ち会えなかった僕。申し訳なさそうな顔で僕を見る、何も知らないあなたの下の名前。
あの日のことが、僕にとっては軽めのトラウマとなっていた。
でも、どうしてだろう。
なんで、こんなにも胸がザワつくのだろうか____。
プルルルルッ、プルルルルッ…
静まり返った部屋に、着信音が鳴り響く。それは僕のスマホからで、ばぁうくんからかかってきていた。
____さらに胸のざわつきが増す。
ピッ
画面から聞こえて来たばぁうくんは、何故か泣いていた。
ばぁうくんの言葉が耳に入らない。
なんで、どうして、どうしてあなたの下の名前ばっかなの。やっと、今の生活に慣れてきてたのに、慣れていたのに。神様はどうしていつも、僕らに刃を向けようとするんだ。
そのあとのことはよく覚えていない。通話をスピーカーにしていたから、そまちゃたちが色々対応してくれていたと思う。切ったあとはそのまま、病院に連れていかれた。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!