⚠軽めの暴力表現が入ります
私が落札されてから少し経つと、1人の男が私の腕を引いて何処かへと連れて行った
今の私は目隠しをしているため、周りを視認する事は叶わない
「この少女で間違いはまりませんね?」
このオークションの関係者らしき男が言った
「おう!合ってるぜ!」
この場には相応しくない程の、明るい声が響いた
これから「この声の主に仕えるのか」と思っていると、シュルりと目隠しが外された
「あぁ、本当に綺麗な目をしているんだな」
「おっ、ホントだな!」
私はあまりの眩しさに目を細めたが、声の方を辿ると、そこには褐色肌の男が2人
その奥には3人の男がついていた。護衛だろうか
美しい白銀の人と高い身長にターコイズブルーの髪の人が2人
笑みが浮かんでいる口元からは鋭利な牙が見え隠れしている
「護衛にはピッタリだ」なんて思った
「では、1億マドルのお支払いとなります」
「あ〜、それなんだけどなぁ…今日、持ってきてないんだ!」
「はい…?」
「お前らにぃ渡す金はないってこと♡…分かってんだろ?」
「あぁ、そう言えばここは闇オークションでしたね。僕が告発したら一巻の終わりだ」
そんな言葉が行き交っているが、意味が分からずに私は混乱した
オークションなのに、お金を払わない。挙句には、ここを告発すると脅している
どんな横暴な集団だ、なんて思っていたら話は進展していたらしく、警備の男がかけて来た
「ジェイド、フロイド。後は頼みましたよ」
「「 はい/はぁ〜い 」」
そう言われた2人の男は10人程もいた警備員をなぎ倒していった
鳩尾を蹴り、顔を殴り、首を絞める。その手元には、短い刃物も握られていた
生暖かい鮮血が私の頬にも付着した
『ひっ……』
あまりに暴力的なその行為に、思わず悲鳴の声が漏れた
「あぁ!怖いよな…ごめんなぁ…」
そんな事を言うこの人は、全く怖くなさそうだ
あれだけ恐ろしい行為を目の当たりにしているのに、なんて平然と…
私は、そこで記憶を手放した
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「あっ!気絶しちまった…」
「ふむ、少女には少し刺激が強すぎましたか」
「お前らが、所構わずに暴れ回るからだろう…」
「運ぶのが楽でいいじゃーん!」
「おやおや、フロイド…彼女は僕たちの人魚姫ですよ。大事にしなくては」
黒い長髪の男が彼女を優しく抱えた
5人はここにはもう用はないと言うように、その場から去っていった
「さて、向こうの人達と合流して帰りましょう」
暗闇に彼らの笑い声だけが響いていた
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。