彼と出会ってから早数週間、僕は彼のことが頭から離れなかった。
気付けば彼のことを考えいる。そんなことが増えた。そして彼のことを考えて
いる時間は今までに無い位幸せな時間だった。
そう言って聞いてきたのは僕の数少ない友達の一人の渡辺翔太。
中学に上がってすぐに仲良くなった人、というか翔太以外の人と話せなかった
というのが正直なところ。
少し顔を赤らめてそう言うと翔太はニヤニヤした顔をした。
そんなことを言う翔太の顔はすごく楽しそうだ。
僕が真剣な顔で話し出すと、顔を見て察したのか翔太は真面目な話を聞いて
くれた。しかし聞くだけで何もアイディア出て来ない。
翔太は性格はいいし、人付き合いもいいから知り合いや友達がすごく多い。
それなのに何故かよく僕のところにきてくれる。僕よりも一緒にいて楽しい人
たくさんいる筈なのに何故………
そして放課後、僕は翔太と一緒に写真部の部室を訪れた。行くことは先輩に伝
えていたのですぐに入ることが出来た。
写真部の部室には天井ギリギリまでの高さの脚立や色褪せてもういつの物かも
わからないアルバムがたくさんある。
その中から一番新しいアルバムを引っ張り出して翔太と写真を見た。
いくら新しいアルバムとはいえ、すぐに見つかるだろうか。
僕が見たその人が写っていたのは中1の時の体育祭。一位でゴールテープを
切る瞬間を収めたものだった。
名前を知っただけ、それだけなのにすごく心が踊った。
さくまくんは翔太が言うように有名人だったため色々ことを聞くことが出来
た。
そう言って少し錆びて開きの悪くなった扉を閉め写真部の部室を後にした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。