俺は、机に突っ伏した。
机にくっつけば少しは涼しくなると思ったのに、むしろ髪に汗が絡みついて蒸し暑くなるだけだった。
くそ(え、かわいbyうさぷり)
隣の席に突っ伏している、俺の幼馴染、みかさ。
やっぱりみかさも暑いらしい。
あれから1ヶ月。
俺が余命宣告されたことは、家族と俺ら6人、そして一定の先生しか知らない。
そして、
思いつきで書いた「死ぬまでにやりたい12のこと」
余命1年なら1ヶ月に1個やればいいかな〜とか思ってたんだけど、いざ12個とか言われるとちょっと決めづらい⋯
だってやりたいこといっぱいあるもん!
例えば、コンビニの商品端から端まで買ってみたりとか(ゑ)、バケツプリン作ってみんなで食べたりとか!
一回決めたことを変えるのはちょっとなぁ⋯
らいとの優しい言葉に思わず胸がドキドキした。
ラピスが何か言いかけようとしたその時、
あ、先生来ちゃった。
一体何のことだったんだろう⋯
そう思いながら、俺は先生の方を向いた。
鈴木先生。俺らのクラスの担任で、俺の病気⋯余命宣告のことも話してる。
すっごい涙もろくて、俺らが先生の誕生日にサプライズとかしたらすっごい泣いてた。
去年も鈴木先生だった。
でも唯一嫌なところは俺の嫌いな数学の教師っていうことかな(泣)
思わず俺の口から声が出る。
みんなも同じようで、「楽しみ〜!」とか「俺どの競技にしようかなっ!」とか言う声が聞こえてくる。
やっぱ体育祭は盛り上がるな。
俺は病気のこともあったしあんまり運動は得意じゃないんだけどね。
まぁ適当に余った競技でもやるかぁ。
俺の学校では、クラスごとに赤・青・黄のチームに分かれる。
そして、3チームが3学年あって、いろいろな競技で対決する!
1人1種目(2種目ある人もいるよ)出るんだ!
借り物競走とか、騎馬戦とか、色々競技はあるけどやっぱり一番盛り上がるのは最後にある大・チーム対抗リレー!!
勝敗が決まるから、やっぱり盛り上がる行事!
男女別で、1クラス6人ずつの3学年18人でやるんだ!
人数と配点が多いから、「大・チーム対抗リレー」って呼ばれてる。
やっぱり、ここは陸上部のラピス⋯体力オバケのらいともいいな。
そんなことをふわふわと考えていると、急にラピスが俺の方を振り向いて小声で言った。
リレー⋯!✨️めっちゃいい!
俺はやりたいことノートを取り出すと、2つ目のやりたいことを書き入れた。
2,6人でバトンを繋ぎたい
心音がすぐに賛同してくれて、らいとが先生に言った。
らいとに先生がツッコみ、クラス内が笑顔に包まれた。
心音が教卓の後ろに立ち、ホームルームが始まる。
心音が指揮を取る後ろでらいとが黒板に種目を書いていっている。
すげー連携(他人事)
まずラピスが真っ先に手を挙げ、その次にらいと、そしてロゼが手を挙げながららいとにツッコんだ。
ちなみに、心音が学級委員長、ロゼが副委員長、らいとが書記である。
おいおまえら公共の場でいちゃいちゃすんなや。
おいやめろお前ら(2回目)
もうやだなんで俺の周りにはリア充ばっかなんだ(泣)
イチャイチャが終わり瞬く間に次の種目へと移る。
リレー、運動苦手だけど、楽しみ!
そう俺は期待を胸に抱いていた。
抱いていた、はずだった、のに⋯
次の日。すぐに練習が始まった。
1年生→3年生→2年生の順に走る。
俺たち6人は最初に足の速い人を走らせる作戦でラピス→心音→ロゼ→らいと→みかさ→俺の順番となった。
まずは学年ごとの練習となり、ラピス先生指導のもと、俺たちを練習を始めた。
聞いたことのない言葉に戸惑っていると、みかさが教えてくれた。
それから、ラピス先生の指導が始まった。
走る時のフォーム、バトンの受け取り方、合図、走り始めるタイミングなどなど、たくさんのことを俺たちに教えてくれた。
さっすが陸上部!
あ、ちなみに心音はサッカー部、ロゼはバスケ部、みかさは吹奏楽部!
俺は病気であんまり学校に行けないから部活に入ってなくて、らいとは飽き性だからって理由で部活に入っていない。
でもらいとは持ち前の運動神経とオバケのような体力を生かして色んな部活の助っ人をしているみたい!
そのラピスの言葉を合図に、ラピスから心音、ロゼ、らいとの順にバトンパスをしながら走り始めた。
ラピスはもちろん、運動系の部活に入っている3人と体力オバケのらいとはすっごく足が速い!
走ってる時も姿勢がめちゃくちゃいいし、バトンパスもうますぎる!
そんなことを考えていると、らいとが全速力で走ってきた。
次の走者はみかさ。
みかさは、少し不安そうに後ろをチラチラ見ていた。
俺がそう叫ぶと、みかさは覚悟を決めたように前を向いた。
でも—
バンッ!
らいととみかさが思い切りぶつかってしまった。
らいとは少しよろけた程度だったが、みかさは地面に倒れこんでしまった。
俺たちはみかさの方に駆け寄った。
幸い、校庭の砂がついているだけでケガはしていなさそうだ。
みかさ、落ち込んでるみたい。
俺が元気づけないと!
みかさは笑顔を見せてくれた。
でも、俺にはその笑顔が作り物のように見えた。
自意識過剰かな?と思ってその時は言わなかった。
でも、今思えば、それは間違った選択だった。
体育祭まで、あと3日。
らいとからみかさ、みかさから俺のバトンパスは、いまだに成功していない。
ガンッ!
俺はまぁまぁ走れるようになってきた。
でも、みかさは少し難しいみたい。
そりゃそうだよ!バトンパスって何?やばすぎるでしょ!
ドサッ
みかさが、その場に倒れ込んだ。
俺の頭の中が真っ白になる。
両親の話によると、俺もこんな感じで倒れて、そのまま⋯
だからみかさが心配で、すぐに駆け寄った。
俺はみかさを抱きしめて、揺さぶる。
でも、みかさは青い顔をするだけで、反応しなかった。
自分の手が震えていくのが分かる。
恐怖に陥る。
やばい、呼吸が⋯
俺の肩に、ロゼの優しい声とともにたくましい手が乗せられる。
泣きそうな顔でロゼを見つめた。
すると、
心音の指示で、みんなが動き始める。
その時俺は実感した。
「あぁ⋯仲間がいるって、温かいな。」
俺が弱気な表情を見せると、心音は黙り込む。
⋯引かれちゃったかなw
こんなことで取り乱して、冷静な判断できなくて。
もう、自分が嫌だよ⋯
心音が走り去って行った四人の背中を見つめながら口を開いた。
反射的に口を開いていた。
心音がどんな気持ちでこの言葉を言っていたか、痛いほど分かるはずなのに。
その意志の強い言葉に、俺は少し嬉しくなった。
心音だって怖いはずなのに、心配なはずなのに。
俺のことを心配してくれていた。
ほんっと、心音って⋯
俺たちは、保健室へと歩き出した。
(みかさSide)
身体をゆっくりと起こす。
ゆらゆらと風で揺れるカーテンから、西日が降り注いでいた。
ふと、上を見上げると時計の隣に貼ってある、カレンダーが目に入った。
5月26日、そこには、大きくドクロマークが入っていた。
俺は運動が苦手だ。
だから、体育祭なんてやりたくない。
でも、メルトに「皆でリレーをやろう!」と言われてしまった。
メルトのお願いを叶えないわけにはいかない。
でも⋯
毎日朝と夜は寝る時間を削って走った。
でも、俺は一向に体力はつかない、足は速くならない。
それどころか、体調を崩してみんなに迷惑をかけた。
原因は貧血、熱中症、最近流行りの夏風邪、寝不足だそうだ。
まぁ要するに頑張りすぎってやつらしい。
こんなに頑張ってるのに、なんでなんだろw
そう思って、布団に顔を埋める。
数秒そうしていると、急にスマホの画面が光った。
それは、メルトからのLINEだった。
めるめる 「みかさ、体調大丈夫?」
みかちゃん 「大丈夫だよ。」
2日も学校を休んで寝ているので、身体は元気になった。
でも、どうせリレーは⋯
めるめる 「ねー、今電話していい?」
思わず声が出た。
電話なんてされたら、暗い声なのバレちゃうかな。
そんなことをうっすらと思いながら、返事をする。
みかちゃん 「いいよ」
めるめる 「おけ」
📞⋯プルルル⋯プルルル⋯📞
メルトは明るい声で話し続けた。
でも話した内容はほとんど覚えていない。
っていうよりは、聞いていなかったんだと思う。
俺が何を話したのかも覚えていない。
今日も俺は嘘を付く。
そうすれば、皆「そのまま」の俺のそばにいてくれる。
あんのくそばばあ(キャラ崩壊)!
あれだけ皆には言うなって言ったのに!
メルトの言葉に、思わず目を開く。
突きつけられた現実。
現実、なんだよ⋯
バレたくない。バレたくない。
俺がこんなどす黒い気持ちを持っていることなんて。
メルトには知ってほしくない。
(メルトSide)
今日は体育祭当日!
体操着に身を包んだ俺は、いつもより少し早い時間に家を飛び出した。
それは、
ピーンポーン
みかさの家に俺は迎えに来た。
昨日、みかさと電話した時に「迎えに行くね!」って言った。
みかさが元気なかったから、元気づけようと思ったんだ!
俺たち6人が今ハマってるアイドル、「すとぷり」のぬいぐるみ!
ランダムグッズなんだけど、めちゃくちゃビジュが良くて!
金欠だから2個しか買えなかったんだけど、俺の最推し、るぅとくんと、みかさの推し、さとみくんが当たったんだ!
みかさのうれしそうな顔を見て、すっごく嬉しくなる!
この笑顔、ずっと見せてほしいな!
みかさ、大丈夫かな?
大・チーム対抗リレーはお昼休憩と応援合戦を挟んで午後から。
それまでは、開会式から始まり、玉入れ、騎馬戦、大玉転がしなどの盛り上がる競技が行われる。
借り物競争には、らいと、心音が参戦する。
2人ともバチバチで、絶対優勝したい!って言ってた。
スタートの合図で、らいとと心音は借り物が書いてあるカードまで走り始める。
2種目目の騎馬戦に出たらぴろぜは元気に応援している。
足速いやつはいいなぁ⋯
しかもさっき、騎馬戦のときにいちゃいちゃしやがってよぉ⋯
10分前
サワ(モブがラピスの腰に触れる。)
数分後
あー、思い出したら腹が立ってきた(リア充撲滅隊)
ふとみかさの顔を見るとやっぱり浮かない顔をしていた。
みかさに近づいて、話しかける。
みかさの赤色のハチマキを手に取る。
みかさの頭に、ハチマキを巻き付ける。
みかさの顔が急激に赤くなる。
そう言って俺はらいしおの方を見やる。
みかさの顔がもっと赤くなった。
なんで赤くなったのかは分からないけど。
みかさは満足そうに髪に触れる。
その仕草は、とても美しかった。
そうこうしているうちにらいしおがカードをめくった。
2人はカードをめくった瞬間、こちらへと全速力で走ってきた。
みかさと顔を見合わせて、お題はなんだろうと悩む。
心音とらいとが連れて行ったのは、なんとロゼとラピス!
なんとお、お姫様抱っこをして!(リア充滅べ!←キャラ崩壊)
そのまま2人は加速して⋯
アナウンスがそう告げると、らいしおは不服そうにしゃべり始めた。
ロゼが聞くと、らいしおは大声で答えた。
あやばいリア充の予感がする(フラグ)
やべぇ本音出ちゃった☆(キャラ崩壊しすぎでわ?)
(ロゼくんの耳元で)
思わず本音が溢れる。
恋人とか好きな人とかと縁のない俺からしたらほんと刑罰だよ!
みかさは好きな人、いるのか分からないけど⋯
あいつら公共の場でイチャイチャしすぎだろ!ってみかさに言おうとして、みかさの方を向く。
みかさは四人の方を見ていた。
自分の好きな人と重ねているのか。
それともリレーが不安なだけなのか。
俺はみかさじゃないからみかさの気持ちは分からないけど⋯
みかさを元気づけてみせる!
(みかさSide)
アナウンスが、聞こえる。
午後の部が始まった。
応援合戦が終われば、もう俺の出番だ。
心臓がどくどくと波打つ。
ラピスたちは笑顔を浮かべているが、何を話しているのかが聞き取れない。
こわい⋯失敗したらどうしよう。
俺のバトンパスは、成功したことがない。
迷惑かけたくない。いやだ。失望されたくない。
そんななか、メルトが俺に声をかけてくる。
いつもなら緊張きている時に声をかけてくれて嬉しいが、今日は自分の心にヒビが入るだけだ。
「メルトは、俺とは違う。」
俺、何考えてるんだ?
急に浮かんできたどす黒い感情に、嫌気が差す。
だから、反射的に言ってしまった。
メルトの手を俺がバシッと音を立てて振り払う。
らいとの声が聞こえる。
皆困惑している。
でも、今更止められない。
最後の方はメルトの泣きそうな顔で意志がブラつき、言葉が弱くなっていった。
メルトは驚いていた。傷ついていた。
そりゃそうだよね。
俺めちゃくちゃ酷いこと言ったもん。
もう無理だ。取り消せない。
熱くなりすぎて心にもないこと言った。
確かにメルトが病気だからって理由で贔屓されてたかもしれない。
でもメルトだってなりたくて病気になったわけじゃない。
そんなの、分かってるのに⋯
みかさが校舎裏の方へ走っていき、それをロゼが追いかける。
空は曇り始め、今にも雨が降り出しそうだった。
ポツリと本音が漏れる。
それと同時に、雨が降り出してきた。
みかさに言われた言葉が、脳内で再生される。
俺、みかさに迷惑かけてたのかな⋯?
俺が地面に座り込んでいると、心音が声をかけてくる。
静かに淡々と話す心音から、現実の重みを感じ取る。
アナウンスが遠く聞こえる。
それぐらいみかさの言葉は俺にささった。
ごめん心音。
俺だってみかさにあんなこと言われて怖かった。
だから、心音にあたってしまう。
最後の方は語尾が弱まる。
みかさを傷つけていた、苦しめていたことはとっくに分かっていたのに。
どうして手を差し伸べられなかったんだろう⋯
心音の的外れな言葉に、驚いて聞き返す。
心音は話を続けた。
心音は一息おいてから、また話し始める。
俺の問いかけに、心音は力強く頷く。
あぁほんと、心音は頼りになる。
そんな優しい声で言われたら、我慢できないじゃないか。
心音は俺の隣に腰掛け、俺の頭を心音の方に抱き寄せ、他の人に顔が見えないようにしてくれた。
雨の空に俺の泣き声だけが響く。
みかさに会いたいな、ふとそう思った。
(みかさSide)
皆から逃げてきて、校舎の奥の方へとやってきた。
気がつけば空から雨が降り注いでいて、俺の頬を濡らした。
俺は木にもたれ、暗い空を見上げる。
まるで、今の俺の心を表しているみたいだ。
ここならもう、誰も来ない。
そう思っていると、
いきなり木の陰から誰かが飛び出してくる。
お、おばけ?
ロゼの笑い声に釣られて、思わず笑みが溢れる。
ロゼの言葉の意味が分からず、頭の中に疑問符を浮かべる。
体育祭のこともあったしね。
思わず暗い気持ちになる。
ピッ
急に聞こえた電子音に目を向けると、ロゼが自動販売機で飲み物を購入していた。
そう言って渡されたのは、俺の大好きないちごミルク。
ロゼの右手には、ブラックコーヒーがあった。
そう言ってロゼは自動販売機の隣にある建物を指差す。
屋根の下に机と椅子があって、お弁当を食べる生徒からは人気のスポットだ。
話す内容はもちろんさっきのことについてだ。
逃げ出したい。なかったことにしたい。
でも、俺を見るロゼの瞳は絶対に逃さないとばかりに燃えていた。
椅子に腰掛け、明るく声を発する。
さっきの話。
抽象的すぎて普段なら聞き返すところだが、今は分かる。
俺がメルトに酷いこと言った話だ。
ロゼの優しい言葉に、思わず涙腺が緩む。
俺の言い訳が始まる。
俺の心の内をロゼに吐露する。
やっぱ俺、嫌な奴。
ロゼの言葉に、思わず聞き返してしまう。
そんなこと言われたら、もうどうしようもないじゃないか。
泣きたく⋯なっちゃうじゃないか⋯
そう言って、ロゼは俺の頭を撫でた。
俺は、メルトのいるであろう校舎の方へ走り出す。
まだ雨が降っていて、後ろからロゼの静止の声が聞こえた。
が、俺は歩みを止めずに走り続けた。
(みかさSide)
走る、走る、走る。
メルトに向かって走り出す。
メルトに謝らなきゃ!
メルトに⋯メルトに!
そんな思いで、雨の道を走り抜ける。
焦っていたせいで、木の枝につまずいてしまった。
怪我を覚悟した、その時、
ダンッ
怪我すると思い閉じた目を開くとそこにはメルトがいた。
そんな言葉が思わず漏れる。
そう言って笑ったメルトを見て、感情がこみ上げてきた。
俺が謝ると、メルトも謝ってくる。
ずっと伝えたかったことを、声にして言うのは、少し照れくさかったけど。
(メルトSide)
そう言って、俺の幼馴染は笑顔を見せる。
それはそれは、雨が似合わないほどの眩しすぎる笑顔だった。
この胸のときめきは、一体なに⋯?
声のした方を振り向くと、心音たちが、タオルを手に持ち、こちらへ走ってきていた。
俺もみかさもずぶ濡れだ。
ふと空を見上げると、きれいな青色に染まっていた。
雨はやみ、俺たちの個性を照らすように虹が出ていた。
俺たちは抱き合い、喜びを共有した。
(みかさSide)
パンッ!
銃声が響き、第一走者がスタートする。
1年生なのに、めちゃくちゃ足が速くて不安になってくる。
リレーでは、バトンミスをすると大幅なタイムロスになるし、最悪の場合、失格になる場合もある。
頭の中でぐるぐる考えていると、バトンは第二走者の手に渡る。
怖くなって手が震えていると、肩に手がぽんとおかれる。
その手の硬さ、あたたかさ、優しさで分かる。
メルトの手だ。
やっぱり、メルトの声聞いてると、安心する。
そうこうしていると、仲間が駆け寄ってくる。
心のなかに巻かれていた不安が、全てなくなる。
俺らのチーム名を決めることになり、しばし悩む。
そして、ふと思いついた。
俺の言葉をらいとがそっくりそのまま返す。
俺の熱い話に、メルトが賛成する。
俺も、どこまでも広がる青い青い空へと拳を突き上げる。
そう言って、俺は仲間の持っている赤色のバトンを見据えた。
その言葉とともに、ラピスが走り出す。
さすが、ラピス。
はやい。はやすぎる。
半周以上差がついていたのにも関わらず、一気に抜かしていく。
そして、心音へとバトンが回る。
心臓がドキドキする。
ロゼにバトンが渡り、ぐんぐんほかチームと差をつけていく。
らいとにバトンが渡る。
次は、俺の番。
スタートラインに並ぶ。
後ろを見ると、らいとが全速力で走ってくる。
ラピスのアドバイスを思い出して、姿勢を正す。
前を向いて、らいとを信じろ!
ガシッ
らいとの叫びに弾かれるように、走り出す。
息が荒い。
自分の心臓の音が、よく聞こえる。
くそっ、くそっ⋯
せっかく皆が差をつけてくれたのにどんどん抜かされていく。
あ、もうダメだ。
俺がコーナーを曲がった時点で他のチームはバトンパスが終わっていた。
だから、そう錯覚せざるを得なかった。
フラフラする視界に、輝きが差し込む。
その言葉に引っ張られ、俺はメルトへと走り出す。
ガシッ
俺がメルトにバトンを渡す瞬間、メルトは俺にだけ聞こえる声で囁いた。
うそっつくなよ⋯
メルトだって運動が得意じゃないの分かってるよ⋯
なのに、俺を安心させるために⋯
ほんっと、メルトはずるい。
(メルトSide)
今のところ、俺たちは最下位。
でも、みかさが頑張って追い上げてくれたから、頑張れば抜かせる!
そんな淡い期待を胸に抱き、俺は走った。
1人、また1人と抜かしていくと、観客席から声援が上がる。
あと、1人。
1位の彼は隣のクラスの陸上部のエース。
運動をしてこなかった俺とは体力も速さも違う。
でも、ここで負けたくない!
汗ばむバトンをぐっと握りしめ、一歩一歩足を踏み出す。
並んだ!
頭の中が真っ白になる。
目の前には白色のゴールテープ。
そして、
全身から、力が抜ける。
抜けて、手を伸ばす。
その伸ばした手を、誰かが、掴む。
ピピピー!!!
アナウンスが響く。
思わずそんな声が漏れる。
興奮した皆に手取り足取りされ、撫でられる。
でも俺の右手をずっと握ってくれていたのは。
みかさは一瞬目を瞑ると、こう言った。
にこやかに笑うみかさを見て、泣きそうになった。
俺は泣きそうな目を誤魔化すように笑った。
そして、俺は無言でハチマキを手渡した。
別にそういう意味じゃない。
ただ、これからも一緒に頑張ろうっていう気持ちを込めただけ。
だけって、分かってるのに。
どうしてだろう。
胸がこんなにドキドキするのは。
(みかさSide)
体育祭が、終わった。
リレーはメルトのおかげで1位。
完全優勝。
皆にもみくちゃにされて、俺たちはずっと笑顔だった。
水を飲もうと、水道へと足を運ぶ。
1人になった瞬間、気持ちが涙となって溢れてきた。
嬉しさ、楽しさ、悔しさ、悲しさ。
色々な感情が混ざりあって1つの色となる。
あぁ、幸せだな。
急に名前を呼ばれて、振り返る。
そこにはなにかと相談に乗ってくれるおにいちゃん的存在、ロゼが立っていた。
気がつけば俺は、口を開いていた。
メルトからもらったハチマキを握りしめながら、俺は叫んだ。
2,6人でバトンを繋ぎたい
みかさと喧嘩しちゃったり、色々トラブルあったけど、体育祭は大成功。
優勝もできたし、すっごくうれしかった。
みかさにハチマキも渡せたし。
みかさ、ちょっと戸惑ってたけど、笑ってみかさのハチマキをくれた。
一生大切にします。
3,6人でお泊まり会をしたい
みなさんどうもこんにちは!うさぷりです!
過去最高傑作!なんとこの時点で12000文字を超えています!
投稿が遅れたのもそのせいです。(言い訳すんな)
前回の投稿から1ヶ月以上経ってましたすみません!(土下座)
私は基本短く話を分けて書くのですが、今回の小説はこんな風に長くしてる理由があります!
ぜひぜひ最後まで読んでください!
あとあとっ!リア友と交換小説している小説があります!
是非見てください!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。