カフェに到着し、新作のレモンパイを頼むと
一人用の奥の方の席に腰かける
日が沈み、夕焼けに染まっている外。カフェの窓の景色を眺めながら、昨晩の出来事をうっとりと考えてしまう
そして、運ばれたレモンパイを頬張る。口に広がるレモンの風味が更に私の妄想力を引き立ててくれる
私が小声でそう呟くと、いつの間にか相席にルパンが。服装は昨晩と違って完全に変装している様だが顔や声は完全にルパンで。
ニシシ、と笑みを浮かべると場所を変えようと私の手を引き店の外へと連れていく
私は、昨晩と変わらないしっかりとしたルパンの手付きに再び顔を染める。
空はすっかり紺に染まり、街も夜のムード。
私は唯、ルパンに引かれるがまま夜の光の中へと溶け込んでいった…
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。