第28話

ドナーカード
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2018/03/28 21:13
目の前で白いベッドで横たわる理央君しがみついてに泣いているのは今日始めて会う、理央君のお母さんだった。理央君は脳死だった。脳だけが使えない。つまり動かなくなり、意識を永遠と失った状態になる死の事だ。私は今もなお信じられない。理央君がこの世にいない。私に笑いかけてくれない。
あれから不思議と涙は出なかった。そんなに冷たい人間だったかな…?そうは思ったけどやっぱり心は悲しいままだった。私は病室を出て院内をうろついていた。自分の事以外で病院に来る日が人生で一度でもあるなんて思いもしなかった。
理央の母
あの…あなた果実ちゃんで合ってる?
突然後ろからかけられた声が理央君にとてもよく似ていて、なんだか懐かしい気分だった。
果実
はい…橋本果実と申します…
目を真っ赤にした理央君のお母さんを見て胸がギュウッと締め付けられる感じがした。
理央の母
あぁ…!やっぱりね…理央から心臓病の子がいるって聞いていたの…
果実
あの…
理央の母
?どうかした…?
果実
本当に…すいませんでした…
そう言って私は深く頭を下げた。心なしか声も震えている
理央の母
謝らないで……っ…あなたはなんにも悪くないわ…
果実
私のせいで…っ…!理央君は……!
そのとき涙が溢れ出て止まらなかった。
理央の母
いいえ…理央があなたをかばわなければあなたも死んでいたかもしれないもの…
果実
でも……っ…!私は……っ!
理央の母
あのね…果実ちゃん…?
果実
…は…はい。
理央の母
さっき…遺品整理をする為に理央の住んでた家に行ったの…
果実
……?
理央の母
そしたらね…?これが置いてあったの…
そう言って見せられたのはドナーカードだった。もし何かがあって脳死判定が出たときの為に臓器を病気で困っている人達の為にあげます。という本人が認証した事を証明するカードだった。提供する臓器にチェックをして所持しておくのだけど…彼のドナーカードには心臓の項目にチェックがしてあった。
果実
これ……
理央の母
理央がね…?あなたに残したものだと思うの…あなたに生きててほしいって意味を込めて…
果実
そんな……
理央の母
あとね……理央がつけていた日記が出てきたの。おかしいわよね…日記なんてつけたこともないくせに…
果実
あの…読ませていただけませんか…?
理央の母
え…?えぇ…どうぞ?
彼女に誘発されて日記を書いてみたくなったから書いてみようと思う。

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