目の前で白いベッドで横たわる理央君しがみついてに泣いているのは今日始めて会う、理央君のお母さんだった。理央君は脳死だった。脳だけが使えない。つまり動かなくなり、意識を永遠と失った状態になる死の事だ。私は今もなお信じられない。理央君がこの世にいない。私に笑いかけてくれない。
あれから不思議と涙は出なかった。そんなに冷たい人間だったかな…?そうは思ったけどやっぱり心は悲しいままだった。私は病室を出て院内をうろついていた。自分の事以外で病院に来る日が人生で一度でもあるなんて思いもしなかった。
突然後ろからかけられた声が理央君にとてもよく似ていて、なんだか懐かしい気分だった。
目を真っ赤にした理央君のお母さんを見て胸がギュウッと締め付けられる感じがした。
そう言って私は深く頭を下げた。心なしか声も震えている
そのとき涙が溢れ出て止まらなかった。
そう言って見せられたのはドナーカードだった。もし何かがあって脳死判定が出たときの為に臓器を病気で困っている人達の為にあげます。という本人が認証した事を証明するカードだった。提供する臓器にチェックをして所持しておくのだけど…彼のドナーカードには心臓の項目にチェックがしてあった。
彼女に誘発されて日記を書いてみたくなったから書いてみようと思う。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。