「奇跡が起きたのはいいんだけど……」の続きです!
side.hs
会議室でグループが団結を見せたところで話はてらくんの足に戻る
当事者であるてらくんは今日一日で起きてる絶望と奇跡に理解を諦めたのかしののことを熱っつい視線で見つめている
それをしのはどう勘違いしたのか
「てら、心配せんでもしっかり治したるからな。大丈夫や」
しのってそういう所ある
てらくんって割と人間関係ドライだから関係がずっと凪の状態だったらすっと諦められるのに
しのはてらくんにどんどん好きになる理由をあげちゃう
そりゃ俺だってアイドル続けられないかもの状態から助けて貰えたら好きになっちゃうかもだけど…
しかも子供ができるかもとくれば狙わない理由が無い
昨日まで余裕ぶっこいてただろうてらくんがこんな明らさまに熱視線を送っているのにしのは全く気付かず
これからの話を進める
「てらって明日どうなっとる?」
「……」
「てら?」
「んぁ?なぁに大輝?」
あー、もう今の声何?!どこからそんな声出たの?!
かんっぜんに甘えてる!!!
前にどっかの雑誌で甘えたいタイプとか言ってたけどメンバーの前でやめて貰えます?!?!
周杜がもうあからさまにドン引きしてますよ!てらくん!
「てらくん…ないわぁ…」
周杜、それは言わない約束でしょ!
…言った方がいいか?
「いや、てらの明日の予定なんやけど」
「舞台稽古があったけどなしになった流石にこの足じゃね…」
「しの、てらちゃんの足治すのに時間かかりそう?」
聡くんが心配そうに問いかける
確かにてらくんの性欲がどえらい方に舵を切っていようが足が動かないのは一大事なのだ
冷静にならないと
「家で詳しく検査しますが治すの自体はそうかかりません、ですがくっつけた魔力回路は切れやすくて。」
「ことが事だ仕事の調整は仕方ないぞ」
風磨くんがフォローするがどうやらそうでは無いらしい
「いえ、魔力回路の安定を測る魔導具の錬金素材取りに行かんと行けんくて、そっからてら用に作ると3日くらいかかってまうんです。俺も仕事があるので……」
魔導具のオーダーメイド?!?!?!
一体いくらかかるんだ…てらくん払えるの?!
何千何億とかかかるって聞いたけど
「…仕事の方は心配するな…」
流石の風磨くんも魔導具のオーダーメイドには青い顔をしている
そうですよね、そうなりますよね
てらくんの座る車椅子も心做しかガタガタ言ってる気がする
「しの、それいくらするの?俺も払えるだけ払うよ」
「だな、俺も出す!」
「勝利…嘉くん…」
なんとふたりが名乗りをあげた
ちょっとびっくりしたけどそうだよねこれからもみんなでアイドルをする為だもん
俺も…!
「お、俺も!だすよ!」
「将生くんが出すなら俺もー!」
なんか周杜も便乗してきて会議室が一体感に包まれる
だけどしのはキョトンとして
「別にお金はええですよ。いつも世話になってますし」
サラッといってのける
「そういう訳には行かねぇだろ」
「そうだよ、しのには貰う権利あると思うな」
流石にタダは悪いと風磨くんと聡くんがしのを諭し始めるがしのは特に気にした様子もなく
「うーん、じゃあ。てら、足治ったらご飯行こな。そんでまた、ダンス教えてくれると嬉しい」
そう言っててらくんに笑いかける
「大輝…!」
あーあ、すっごいてらくんが乙女の顔してる
あんまり見たくないなぁ。最年長の乙女顔
その後色々あったけど今後しのの奢りはなしって事で話は落ち着いた
「とりあえず。お金云々はてらの治療してから考えましょ」
「おめぇまだ納得してないのかよ」
「まぁまぁ、風磨くん。それでしの、てらは何処で治療するの?運ばないとでしょ?」
まだ引かないしのに勝利くんが話変えると
「あぁ、俺ん家で見ます。回路繋げたあとも看病しなあかんし暫く俺ん家でもええ?てら」
いきなり2人きりかぁ
見なよしのてらくん頭ブンブン振ってるよ
赤べこ?
ギアかかりまくってるてらくんとしのを2人きりに…
ダメだね
さっき固まったばかりの団結を早速使う時が来た
「えー!俺大輝んち行ったことあるけどそんなスペース無かったよ?」
ナイスだ周杜
ここぞとばかりに風磨くんも追撃する
「事務所に頼んでどこか用意できないか聞くぞ?」
「あぁ、いつものアパートじゃなくて工房があるんです。そこなら色々揃ってるんで」
ダメだ
世界がてらくんに都合良すぎる
しの23歳だもんね工房のひとつやふたつ持ってるよね…
そんなわけなくない?!
自分で用意したのか貰ったのか分からないが工房持ちって相当の実績がないとなれないはず…
「しの、工房持ちなのか…」
「ええ、21まで普通に働いてたんで」
しの、よくご両親がアイドルになるの許してくれたね
ここまで来るとそのレベルでしょ
そりゃ、風磨くん達も全開でスクラム組むよ…
ってか、これほんとに俺たち聞いて大丈夫な話かな
あとから国とかからなんか言われないかな…
「大輝、悪いな。世話になる」
てらくんがちょっと下から出て
話纏めようとしてる
しのがわかる程度にしゅんとして
迷惑かけてごめん、みたいな顔してる
しのと2人きりの4日間を狙ってるくせに
流石にそれはひよこ組の長男として見過ごせない
「おれ!明日休みだからなんか手伝うよ!」
「だな、俺もてらくらい持ち上げられるぞ」
原くんはこういう時いつも立候補してくれる
テラくん、原くんに感謝した方がいいですよ
これ善意100%なんですから
「俺一人で何とかなるで?」
くっそ、こういう時しのは俺たちの手を借りだがらない
わかってるからてらくんもあんな殊勝な態度とったんだ
キラッキラの目で俺たちにドヤ顔してくる
あー、もう!
「本当は!魔導師の工房みたい!!!!!!!」
しののおしりは俺が守る!!!!
恥をかなぐり捨てて叫ぶと周りからよくやったー!それでこそ男だ!等野次が飛んでくる
それを聞いたしのはなるほど、と言う顔をして
「そっか、珍しいもんな。気になるか」
よし!よし!いいぞ!
「しのー?それなら僕も見てみたいかも」
「おーれも!明日休みだし」
てらくんにはすっごい恨まれそうだけど仕方ない
てらくんはしのの前で情けないこと言いたくないはず
それを利用して俺と聡くんと周杜も行くことになった
当然てらくんはすっごい顔してるよ
「じゃあ、行きましょうか」
「待て、マネージャーに車まわさせる」
風磨くんが廊下に出ようとすると
「いえ、大丈夫です」
そう言ってしのは扉に近づく
手には金色の鍵を握っていた
なんの鍵だろう?
「しの…?」
「大丈夫やで、見ててな」
そう言ってしのは鍵穴に鍵を差し込むとそのままグルリと回した
「わっ!」
そしたらしのの手元から広がるように扉の模様が変わっていく
数秒もしないうちに会議室の扉は木製のアンティーク調の扉になった
魔法だ…
俺魔法を目にしてる
実感湧かなかったけどしのはほんとに魔導師なんだ
目にした奇跡にゾワゾワと鳥肌が立つ
なんか涙も出てきたかも
しのは何故だか一歩下がって荷物を手にした
するとひとりでにドアノブが下がって
ガチャリ
向こうに誰かいるのか?
扉がゆっくりと開くひょっこりと現れたのは
「かわいいっー!」
大きなふわふわのクマの人形だった
大きさは俺より少し低いくらいだから
160はある
しっかりシャツも着て蝶ネクタイが可愛らしい
そのクマはポテポテのてらくんに近づくと後ろに周り車椅子を押す
「うぉわっ、俺人形に押してもらってる...」
「後、来るのは3人ですか?」
しのがそう聞くと追加で40cm程のぬいぐるみが3体扉の向こうからやってきた
ハットを被ったうさぎにサスペンダーのネコ
マントの着いたイヌが俺たちの近くにやってきて
手を伸ばす
なんだろう?抱っこかな?
そう思って抱き上げるとイヌはブンブンと首を横に振った
「荷物持つから、渡してや」
「人形働き者だね」
「可愛すぎっ!ねぇしの動画撮っていい?絶対どこにも載せないから!」
この状況に勝利くんは感嘆しているし
聡くんは興奮気味だ
「ええですよ、これくらいCGってことで何とかなるでしょう」
それは何とかならないと思う
「なんとかはならねぇと思う」
風磨くんもそう言ってる
「なぁ、やっぱり俺も行ってもいいか?興味出てきたわ」
原くんがおずおずと言い出せば
「ええですよ」
今度は白うさぎが飛び出してきた
原くんの足元でぴょんぴょん飛び跳ねてお仕事を待っている
「これも魔法?」
勝利くんは興味深そうに人形を観察していて
「そうです。全部俺が操作してますね」
「あー、俺らも時間に余裕があれば行きたかったな」
風磨くん残念そうに時計を見れば結構いい時間だ
そろそろ行かなくては
俺たちはしのと人形達に続いて扉をくぐった
普通に全然進まなかったけど一旦ここまで!
ここから先のお話は別の場所で書くことにしまた!是非そちらでご覧下さい!











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。