サボがエースを抱き抱えようとした時、
エースのポケットから何かが落ちた。
サボは少し考えた後、
転がったそれを自分のポケットに入れると
エースを抱え、再びあなたの背中へと移動する。
船を出て少しした後、
辺りに海軍の船や敵船がないことを確認すると
海に浮かんだような小島に降りた。
布に包まれたエースをそっと地面に寝かせると
あなたは手のひらをかざして、鱗で覆うと
それに炎を灯した。
鱗は紫色の炎を上げると勢いよく燃え上がり、
10分もしないうちに、人1人分ほどの
大きな宝石の塊となった。
これは、移動の最中にエースの体が
腐敗してしまうのを防ぐためだ。
あなたの抜け落ちた鱗は、炎で燃やすと
一気に透明度の高い宝石に変化するという
性質を持っている。
それを利用した。
今度は竜の姿のあなたが、
石の中に眠るエースを両手で抱えて、
サボを背中に乗せてまた飛び立った。
サボはそんなあなたの背中で、口を引き結んで
眉間に皺を寄せていた。
"あなたは、エースを燃やす時、
どんな顔をしていたんだろうか"
黙って炎を灯した彼女の顔を
サボは見る事ができなかった。
もし、泣いていたのだとしたら
自分も耐えられそうに無いと思ったからだ。
支える立場としてここにいる自分が
揺れてしまったら、いつも1人で耐えていた
あなたに示しがつかないと思っての事だった。
しばらくお互いに無言で飛んでいると、
何か言いたげなそぶりをしたあなたが
ようやくサボに向けて口を開いた。
あなたが落ち込んでいたら、なんて言おう。
そんな心配をしていたサボに投げられた言葉は
思っていたものと違うものだった。
あなたはもう、前を向いてるんだ。
自分の事も、島の事も、
そして、エースの事も。
全部受け止めた上で、未来を向いて進んでるんだ。
そんなあなたをみて、
なんだか、自分が情けなく思った。
本当は、格好悪い自分に対しての笑いだったけど
あなたに言うのはやめた。
コイツの前では、
俺は頼れる友で居たかったからかもしれないし、
頼る事を知らないあなたにとって、自分が
兄貴の様な存在で居たかったからかもしれない。
少し間が空いて、2人は弾けるように笑い合った。
柔らかい風が頬を撫でて過ぎていく。
ルフィも相当な精神ダメージがあったはずだ。
それを分かっているサボも、あなたが言った
言葉の続きの意味を肯定する様に、心配そうな
顔つきになって『そうだな』と短い返事をした。
…目を閉じると、みんなを近くに感じる。
その中の一つに、ルフィの魂も感じた。
こんなに広い海で
記憶を無くしたサボに会えたのも、
船を飛び出した後、
すぐにルフィに会えたのも、
きっと、全部偶然なんかじゃない。
兄弟達、モビーの家族達…
そして…エース。
みんなが、私の帰る場所として
私の魂に刻まれてるからなんだ。
あなたが空に向けて口笛を吹くと
一羽の鳥が飛んでくる。
広げた翼が太陽に反射してキラリと光った。
サボは眩しそうに目を細めて見上げた。
影だけ見て"随分頭がデカい鳥だな"
なんて思っていると、更に近づいてきて
羽を広げると3メートルはある
鷹のような見た目で美しい鳥だった。
デカい頭に見えていた物はどうやら帽子だったようで
鷹はサボに向けて、咥えているそれを"受け取れ"
とでもいうように見つめた。
サボが受け取るのを確認すると、
鳥は一声鳴いて飛び去っていった。
サボは手にした帽子に視線を移して言った。
あなたはサボの言葉に応えるように
4枚の羽で、風を掴むようにして
滑るように一直線に力強く飛んでいく。
ガチャ…
イワンコフ、ハンコックらを乗せた軍艦が
ハートの海賊団率いるローの潜水艦を見つけ
並走していた頃、
空を飛んでいたあなた達もその船を見つけ
緩やかなカーブを描き下りていく。
海賊船ほどある大きな竜は、こちらに近づくと
背中に乗せていた青年が飛び降りるのと同時に
ぐるりと自身の体を空中で回転させた。
すると、竜はたちまち少女へと変わっていき
潜水艦の縁へとストン、と着地する。
ジンベエは少しだけ眉を顰めて返事をすると
隣に立っているサボに目線を移した。
ジンベエが
海軍から奪ったであろう軍艦から
身を乗り出し声を上げる人物によってかき消された。
身を乗り出して声を上げるイワンコフの顔は
とても大きく見えた。
そ言って、サボは話しながら目配せをする。
革命軍の事は、大っぴらにできないので
彼なりに秘密にしておきたいという合図だ。
よく一緒に任務をしていた際に決めた
ハンドサインの様なものだ。
了解の合図としてあなたは自分の鼻を少し触った。
そんな様子を見て、イワンコフは
盛大なため息をつくと共に荒れた息を整える。
すると、奥で黙って話を聞いていた男が
やれやれと言った様子で、気怠そうに口を開いた。
""え〜〜〜!!?""
イワンコフらを乗せた軍艦は、九蛇海賊団と
ハートの海賊団とは逆の方に舵を切って
船の縁から身を乗り出すようにして手を振り、
『死ぬんじゃねェぞ〜〜〜麦わらァ!!』
『気をしっかり持つんだぞ〜〜〜!!』
『頑張れよォ〜〜〜!!
頑張れ 麦わらァ〜〜〜!!』
といった、ルフィへの激励の言葉を投げながら
去って行った。
それは布で包まれていてよくわからない。
チラリと見えたのは、デカい水晶の様なものだった。
水晶の中に何かが入っていたように見えた気がした。
青い髪の女はズレかかった布をまた大事そうに直すと
それを帽子を被った男が抱えて、
女の後を追う様に船内へと入って行った。
人1人分程の大きさだった。
ローの船は女ヶ島を目指し、その道中
あなたは自分の血から作った治癒薬を
ルフィへと投与した。
姿を消して、ローの目を盗んでこっそりと。
しばらくして、船が女ヶ島に到着すると
回復薬の効果もあってか予定よりも早く
ルフィは目覚めた。
ルフィは、目が覚めるとともに暴れ出し、
焦ったローの船員達が
あなたとサボを呼びにいく間に
何人かがその場に残って押さえつける。
しかし、傷をも無視して暴れるルフィを
船員達は抑える事ができずにいた。
止めに入った船員達も何人か倒れている所をみると
相当手に負えない状況なのは一目で分かる。
\\\ドゴォォォン!!///
そんな状況の中、落ち着いた足取りで
あなたとサボがルフィの元に近づいていく。
ルフィは力が抜けたようにへたりと座り込んで
瞳から落ちた大粒の涙が地面を濡らした。
あなたはそんなルフィを抱きしめると、
耳元で言った。
《ルフィ、騒がずに聞いてね。
今日の夜中、みんなが寝静まった頃
西の森まで来て。
私なら________。》
思わず姉の言葉に聞き返すも、『来ればわかる』と
だけ言って、彼女はそれ以上語らなかった。
〜それから数時間後、真夜中の西の森にて〜
サボは、あなたの言う通りに
エースの入っている石を指で確かめながら核を探る。
ヒビさえ入れば
あなたの作った石の性質上、縦に割れる。
ルフィにも代償があると言うことを
話しておくべきだと思い
目の前に座っているあなたを呼ぶと
あなたはそんなサボの問いかけを
見透かすかのようにふっと柔らかく笑った。
そう笑って言ったあなたの顔は
曇りなんて一切なくて、
その顔をみてサボは、困ったような、
それでいて安心したような顔で返事をした。
ルフィも力強く答える。
あなたはそれを見て、満足した様に笑った。








































編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。