第55話

魂の帰る場所
1,434
2023/03/29 15:46 更新
.
.
サボ、行こう
サボ
サボ
ああ…
サボがエースを抱き抱えようとした時、
エースのポケットから何かが落ちた。
サボ
サボ
《…》


サボは少し考えた後、
転がったそれを自分のポケットに入れると
エースを抱え、再びあなたの背中へと移動する。
船を出て少しした後、
辺りに海軍の船や敵船がないことを確認すると
海に浮かんだような小島に降りた。


布に包まれたエースをそっと地面に寝かせると
あなたは手のひらをかざして、鱗で覆うと
それに炎を灯した。


鱗は紫色の炎を上げると勢いよく燃え上がり、
10分もしないうちに、人1人分ほどの
大きな宝石の塊となった。


これは、移動の最中にエースの体が
腐敗してしまうのを防ぐためだ。

あなたの抜け落ちた鱗は、炎で燃やすと
一気に透明度の高い宝石に変化するという
性質を持っている。

それを利用した。



今度は竜の姿のあなたが、
石の中に眠るエースを両手で抱えて、
サボを背中に乗せてまた飛び立った。



サボはそんなあなたの背中で、口を引き結んで
眉間に皺を寄せていた。


"あなたは、エースを燃やす時、
どんな顔をしていたんだろうか"


黙って炎を灯した彼女の顔を
サボは見る事ができなかった。


もし、泣いていたのだとしたら
自分も耐えられそうに無いと思ったからだ。


支える立場としてここにいる自分が
揺れてしまったら、いつも1人で耐えていた
あなたに示しがつかないと思っての事だった。



しばらくお互いに無言で飛んでいると、
何か言いたげなそぶりをしたあなたが
ようやくサボに向けて口を開いた。
竜型
竜型
サボ、あのさ…
サボ
サボ
ん?なんだ?

あなたが落ち込んでいたら、なんて言おう。

そんな心配をしていたサボに投げられた言葉は
思っていたものと違うものだった。
竜型
竜型
その…いつも、ありがとう
サボ
サボ
え…
サボ
サボ
…なんだよ急に
改まって…
竜型
竜型
サボやエース、ルフィも…
離れてても
側に居てくれてたんだなって思って…

いつも、支えてくれてたんだよね

今は、やっと…心から
それが理解できたから

だから…その、ありがとう
サボ
サボ
《そうか…》
あなたはもう、前を向いてるんだ。


自分の事も、島の事も、

そして、エースの事も。


全部受け止めた上で、未来を向いて進んでるんだ。


そんなあなたをみて、
なんだか、自分が情けなく思った。


サボ
サボ
……っふ
竜型
竜型
なっ!?
今笑った!?
本当は、格好悪い自分に対しての笑いだったけど
あなたに言うのはやめた。


コイツの前では、
俺は頼れる友で居たかったからかもしれないし、

頼る事を知らないあなたにとって、自分が
兄貴の様な存在で居たかったからかもしれない。
サボ
サボ
なんか、改まって言われると
気持ち悪ィなって!
竜型
竜型
なによそれ!!
サボ
サボ
悪ぃ悪ぃ!

なんつーか、むず痒いっつーか…

改めて言われると
なんか、照れるっつーか
竜型
竜型
…うん、私も…
少し間が空いて、2人は弾けるように笑い合った。

柔らかい風が頬を撫でて過ぎていく。
サボ
サボ
で、俺らは何処に向かってんだ?
竜型
竜型
…ルフィの所!

怪我が酷かったし、私が行けば、
少しは手伝えるだろうからね

それに…
ルフィも相当な精神ダメージがあったはずだ。

それを分かっているサボも、あなたが言った
言葉の続きの意味を肯定する様に、心配そうな
顔つきになって『そうだな』と短い返事をした。
サボ
サボ
分かるのか?場所
竜型
竜型
うん…

…今なら分かる


…目を閉じると、みんなを近くに感じる。


その中の一つに、ルフィの魂も感じた。





こんなに広い海で
記憶を無くしたサボに会えたのも、


船を飛び出した後、
すぐにルフィに会えたのも、


きっと、全部偶然なんかじゃない。



兄弟達、モビーの家族達…


そして…エース。


みんなが、私の帰る場所として
私の魂に刻まれてるからなんだ。
竜型
竜型
この辺かな…
サボ
サボ
ん?何がだ?
竜型
竜型
ちょっと待って
あなたが空に向けて口笛を吹くと
一羽の鳥が飛んでくる。


広げた翼が太陽に反射してキラリと光った。


サボは眩しそうに目を細めて見上げた。


影だけ見て"随分頭がデカい鳥だな"
なんて思っていると、更に近づいてきて


羽を広げると3メートルはある
鷹のような見た目で美しい鳥だった。


デカい頭に見えていた物はどうやら帽子だったようで

鷹はサボに向けて、咥えているそれを"受け取れ"
とでもいうように見つめた。


サボが受け取るのを確認すると、
鳥は一声鳴いて飛び去っていった。
サボ
サボ
エースの帽子…
なんで鳥が…?
竜型
竜型
さっきの鳥はね、
この空域にのみ生息する
珍しい鳥なの

すごく警戒心が強くて
人前にはなかなか姿は見せないんだけど

空ばっかり飛んでたから
いつのまにか仲良くなって

荷物とか、大切なものを
保管して貰ってたんだ
サボ
サボ
なるほどな
通りでいつも身軽なわけだ
サボは手にした帽子に視線を移して言った。
サボ
サボ
早く持ち主に返してやらねェとな
あなたはサボの言葉に応えるように
4枚の羽で、風を掴むようにして
滑るように一直線に力強く飛んでいく。
女帝(ボア・ハンコック)
ルフィの容体はどうなのじゃ…!!
ベポ
よくおれ達がここに
浮上してくるって分かったな


海軍がまた追跡してきたのかと思って
キモ冷やしたよ
女帝(ボア・ハンコック)
海底をサロメに尾行させたのじゃ

…勝手に話題を逸らすな
ケモノの分際で!!
ベポ
すいません…
クルー
『『打たれ弱っ!!』』
ガチャ…
ベポ
あ!キャプテン!!
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
やれる事は全部やった

オペの範疇はんちゅうでは
現状命は繋いでいる

___だが
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
あり得ない程の
ダメージを蓄積してる
___まだ生きられる保証はない
イワンコフ、ハンコックらを乗せた軍艦が
ハートの海賊団率いるローの潜水艦を見つけ
並走していた頃、


空を飛んでいたあなた達もその船を見つけ
緩やかなカーブを描き下りていく。
ベポ
えぇ!?
今度は何だ!?
クルー
鳥…か!?
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
いや、違ェ
あいつらは確か…
女帝(ボア・ハンコック)
ルフィの姉上と兄上ではないか!!

そなた達も無事じゃったか!!

良かった!!
クルー
《《《 あれ…?おれらと態度全然ちがう…》》》
海賊船ほどある大きな竜は、こちらに近づくと
背中に乗せていた青年が飛び降りるのと同時に
ぐるりと自身の体を空中で回転させた。


すると、竜はたちまち少女へと変わっていき
潜水艦の縁へとストン、と着地する。

(なまえ)
あなた
どうも!
ジンベエ
ジンベエ
あなたさん…!!

無事じゃったか…!!
(なまえ)
あなた
おかげさまで、
親分も無事でよかったです!
ジンベエ
ジンベエ
いやいや、むしろ
わしも傷を負ってしまい
苦労を掛けてしもうた…
.
.
そんな事ないです
ジンベエ親分が庇ってくれなかったら
ルフィを失うところでした
ジンベエは少しだけ眉を顰めて返事をすると
隣に立っているサボに目線を移した。
ジンベエ
ジンベエ
サボ、と言ったか
お前さんも、あの時は世話になった…!

なんとお礼を言えばいいか…
サボ
サボ
こっちこそ
ルフィを守って貰っちまった
本当にありがとう!

怪我…大丈夫か?
ジンベエ
ジンベエ
流石に泳ぐことは出来んがな
ワシよりもルフィ君が…

ジンベエが
海軍から奪ったであろう軍艦から
身を乗り出し声を上げる人物によってかき消された。
イワンコフ
サボ…!!?
サボ
サボ
ん?
イワンコフ
サボじゃない!!
戦場で見かけたと思って
まさかと思ってタッチャブル!!
サボ
サボ
あぁ、イワさんじゃねェか!

どおりで、
似てるやつが居るなと思ったが…

無事みたいで良かった!!
クルー
《あんな濃い顔の人を
似てるやつで片付けられたのか…?》
イワンコフ
"良かった"じゃナッシブル!!

声掛けようにも何処かへ消えたから
どこへ行っタブルかと思えば…!!
小声《どうしてここに?
ドラゴンの指示ッチャブルなの?
サボ
サボ
小声《いや、おれが自分で決めてここに来た
イワンコフ
あら、そうなの?
何用で?
サボ
サボ
ルフィは俺達の弟なんだ!
イワンコフ
あらそう…弟…



……はぁっ!!?
《ドラゴンから何も
聞いてナッシブルよ!!?

じゃ、じゃあサボもドラゴンの
息子って事ッチャブル!!?》
サボ
サボ
血は繋がってねェけどな!
イワンコフ
それを先に言ってちょうだい!!!
ひっくり返る所だったじゃない!!
身を乗り出して声を上げるイワンコフの顔は
とても大きく見えた。
(なまえ)
あなた
そっか、知り合いだもんね
サボ
サボ
ま、そりゃな
そ言って、サボは話しながら目配せをする。


革命軍の事は、大っぴらにできないので
彼なりに秘密にしておきたいという合図だ。


よく一緒に任務をしていた際に決めた
ハンドサインの様なものだ。

了解の合図としてあなたは自分の鼻を少し触った。

そんな様子を見て、イワンコフは
盛大なため息をつくと共に荒れた息を整える。
イワンコフ
まったく…!!
…まぁいいわ…

そこのドラゴンガールとも
知り合いだった様ですし

《後でゆっくり聞きましょ》

…で、ヴァナタはどうするの?
サボ
サボ
おれはまだ、やる事があるんだ!
イワさんは?
イワンコフ
ヴァターシは久しぶりに
自分の島へ帰るとするわ
すると、奥で黙って話を聞いていた男が
やれやれと言った様子で、気怠そうに口を開いた。
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
…話は終わったか?

こんな所でちんたら話してたら
麦わら屋が生きてると
政府に見つかってゲームオーバーだ
女帝(ボア・ハンコック)
そうじゃな…

ルフィの生存が政府にバレては
必ず追っ手がかかる

わらわ達が"女ヶ島"で匿おう

わらわがまだ"七武海"であるなら
安全に療養できる

ルフィの兄上と姉上も
来るといい、特別に上陸を許そう
(なまえ)
あなた
じゃあ…その女ヶ島まで
ちょっと乗せてもらおうかな!

…いいかな?
サボ
サボ
おれも頼む
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
…好きにしろ
                          ""え〜〜〜!!?""
クルー
き、キャプテン…
こいつ、白ひげんとこの滅尽竜だぞ!?

もう1人の素性は分からんが

あの戦争の最前線で
大将と互角に戦ってたやつだ…!
クルー
あ、でもおれ、
見た目はタイプ♡
竜だけど
ベポ
メスのクマだったら良かったな〜
クルー
竜だっつってんだろ!!
ベポ
すいません…
.
.
《クマさん打たれ弱っ…》
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
あぁ、分かってる

だが…別にいい
こっちは麦わら屋が居るんだ

下手なマネはできねェはずだ
クルー
そ、そうか
キャプテンがそう言うなら…
(なまえ)
あなた
大丈夫、ルフィの恩人に
急に噛みついたらなんかしないから!
(なまえ)
あなた
そう言う事で、よろしく!
トラファルガー・ローさん!
クルーの皆さん!
クルー
《《あ、やっぱいい人そう!!♡》》
よろしくお願いしまーす♡
サボ
サボ
よろしく頼む!
トラ太郎と…その仲間達!
クルー
《《俺らすごい雑に
まとめられてる…》》
あ、ハイ…
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
口には気をつけろ
…次、その名前で呼ぶんじゃねェ
.
.
サボ!
トラファルガーだよ!
トラファルガー・ロー!!
サボ
サボ
そうか!すまねェ!
トラマルファー!
トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
……
イワンコフ
じゃあ、麦わらボーイを援護するという
ヴァターシの使命はここまで!!
ヒーハ〜!!

後のことは任せッティブルけど
いいかしら!!
サボ
サボ
ああ、当然だ!
ありがとな!イワさん!
ジンベエ
ジンベエ
わしもまだ自由に泳げん

せめてこのまま
ルフィ君の回復まで見届けよう

何ができるかわからんがな…


イワンコフらを乗せた軍艦は、九蛇海賊団と
ハートの海賊団とは逆の方に舵を切って
船の縁から身を乗り出すようにして手を振り、

『死ぬんじゃねェぞ〜〜〜麦わらァ!!』

『気をしっかり持つんだぞ〜〜〜!!』

『頑張れよォ〜〜〜!!
頑張れ 麦わらァ〜〜〜!!』

といった、ルフィへの激励の言葉を投げながら
去って行った。




トラファルガー・ロー
トラファルガー・ロー
…目的地は決まったんだ
早く中に入れ、船出すぞ

そこの怪我人の魚人もだ
クルー
『『アイアイ!キャプテン!』』
ジンベエ
ジンベエ
かたじけない
クルー
そういや、気になってたんだが…
そのデカい荷物はなんなんだ?
サボ
サボ
…アンタらが知らなくてもいいモンだ
危険なもんじゃねェから安心しろ
それは布で包まれていてよくわからない。
チラリと見えたのは、デカい水晶の様なものだった。

水晶の中に何か・・・が入っていたように見えた気がした。

青い髪の女はズレかかった布をまた大事そうに直すと
それを帽子を被った男が抱えて、
女の後を追う様に船内へと入って行った。


人1人分程の大きさだった。


ローの船は女ヶ島を目指し、その道中
あなたは自分の血から作った治癒薬を
ルフィへと投与した。

姿を消して、ローの目を盗んでこっそりと。



しばらくして、船が女ヶ島に到着すると
回復薬の効果もあってか予定よりも早く
ルフィは目覚めた。





ルフィは、目が覚めるとともに暴れ出し、
焦ったローの船員達が
あなたとサボを呼びにいく間に
何人かがその場に残って押さえつける。


しかし、傷をも無視して暴れるルフィを
船員達は抑える事ができずにいた。




止めに入った船員達も何人か倒れている所をみると
相当手に負えない状況なのは一目で分かる。
ルフィ
ルフィ
エ〜〜〜ス〜〜〜!!
ルフィ
ルフィ
う"ぁぁぁぁあぁ"ぁああ"!!!

エースはどこだァ〜〜〜〜!!!

エース〜〜〜〜!!!
クルー
止まらねェ!!
手に負えねーよ!!


       \\\ドゴォォォン!!///
クルー
うわぁ!!!
そんな状況の中、落ち着いた足取りで
あなたとサボがルフィの元に近づいていく。
サボ
サボ
目が覚めたんだな、ルフィ!
…よかった、元気そうだな
ルフィ
ルフィ
サボ…
(なまえ)
あなた
よかった…!
薬、効いたみたいね!
ルフィ
ルフィ
あなた……?
ルフィ
ルフィ
な…
なんでっ…!!

なんで2人して
そんなに冷静なんだよ!!

エ、エースが…っ
ルフィ
ルフィ
 おれっ…

おれがっ…


助けるって…言っだっ…の"にっ…!!
.
.
ルフィ…
《そうだよね…ルフィには
この力の事は話してなかったから…》
ルフィは力が抜けたようにへたりと座り込んで
瞳から落ちた大粒の涙が地面を濡らした。





あなたはそんなルフィを抱きしめると、
耳元で言った。




《ルフィ、騒がずに聞いてね。

今日の夜中、みんなが寝静まった頃
西の森まで来て。

私なら________。》
ルフィ
ルフィ
ぇ…?
ルフィ
ルフィ
ぃ、今なんて言ったんだ…?
思わず姉の言葉に聞き返すも、『来ればわかる』と
だけ言って、彼女はそれ以上語らなかった。
〜それから数時間後、真夜中の西の森にて〜
.
.
…2人とも、揃ったね
ルフィ
ルフィ
ほんっ…

ほんどなの"か!?

『エースを救える』って"!!
ルフィ
ルフィ
お、お"れ"の…
聞き間違い"じゃねぇよ"な"!!
本当なんだよな!!
.
.
私がルフィに嘘ついた事、あった?
ルフィ
ルフィ
い"や!!な"い"!!
.
.
うん
それじゃ、始めようか

サボ、核を探すの
得意だよね?
サボは、あなたの言う通りに
エースの入っている石を指で確かめながら核を探る。

ヒビさえ入れば
あなたの作った石の性質上、縦に割れる。
ルフィ
ルフィ
…この中に入ってたのって
エースだったのか
.
.
そう…サボと一緒に
ここまで運んできたの

ルフィにも…
そばにいて欲しかったから
サボ
サボ
あなた…
ルフィにも代償があると言うことを
話しておくべきだと思い

目の前に座っているあなたを呼ぶと

あなたはそんなサボの問いかけを
見透かすかのようにふっと柔らかく笑った。
.
.
…ルフィに話しておいてくれる?
サボ
サボ
…おう
ルフィ
ルフィ
(なまえ)
あなた
エースが目覚めたら…

2人とも、よろしくね
そう笑って言ったあなたの顔は
曇りなんて一切なくて、

その顔をみてサボは、困ったような、
それでいて安心したような顔で返事をした。
サボ
サボ
分かった
ルフィ
ルフィ
…おう!!

任せろ!!
ルフィも力強く答える。

あなたはそれを見て、満足した様に笑った。

プリ小説オーディオドラマ