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第3話

マサイと●●。
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2018/07/29 00:29
2人で屋根がない渡り廊下、つまり外の廊下?ん?むずかしいな、まあいっか。←
そこに●●と2人で應援團の練習を見ていた。
「大変だよね〜。暑そう。」
「ほんと。俺入んなくてよかったよ。」
いや、ほんとは入りたかった。だって見た感じあいつら1番青春してんじゃん。でも、もし應援團に入ってたら、●●と出会えてなかったかもしれない。
「そんなこと言ってぇ〜(笑)ほんとはあの中に入ってモテたかったんじゃないの〜?(笑)」
「んなことあるか(笑)女子と話すのはお前だけでじゅーぶん。(笑)」
「あらっ、嬉しいこと言ってくれるじゃん(笑)」
そんな●●の返事を聞きながら、こいつとの出会いを思い出していた。
それは、高校1年生の時だった。
「おねがいっ!」
「えぇ〜。」
シルクが俺にこんなことを頼んできたのだ。
「俺と一緒に應援團やろ〜よ!」
この時の俺は、日に当たりたくない、暑い思いしたくない、体を動かしたくない、この3つによって、應援團など入りたくなかったのだ。シルクが應援團に入りたい理由はだいたいわかった。どうせ○○にいい面したかったんだろう。
「じゃあ、帰りは一緒に帰ってやるから、ね?だから他あたりなよ。(笑)」
それがシルクとの約束だった。
「しゃーねえ(笑)わかった、他あたるよ(笑)」
この時は、こんな約束を破ってしまうなど、思いもしなかった。

シルクたちが練習をするようになると、俺は彼らの練習を見守った。たまに手伝いもさせられた。メガホン洗うの手伝えとか、曲ながしてとか。
それは、練習の時にみんなにかける、水を準備している時だった。バケツを蛇口の下に置き、顔を上げた瞬間だった。校内にいた女子と、目が合ってしまったのだ。うわっ、かわいいっ。とか思ったら、急に動揺しちゃってバケツ倒したのを覚えてる。そんで遠くから
「水こぼしてんじゃん!!」
ってシルクの声が聞こえたのも覚えてる。
「ご、ごめん!もう1回いれますー。」
それから、練習の補佐の途中に、彼女と目が合うことが多々あった。その度に動揺する俺。←
だって、彼女も恥ずかしそうに目を逸らすから。
そんな俺らの様子を、どうやらシルクは見ていたらしい。ある日の帰りに、こんなことを言われた。
「なぁマサイ、」
「ん?」
「お前、あの女の子のこと好きだろ。(笑)」
確信した様子で意地の悪い笑顔を見せているこいつは、やはり鋭いやつだった。
「なっ、なんで!?」
「んなもん、見てりゃわかる(笑)」
バレていた。完全にバレていた。←
その日から帰りの話題はこれでもちきりだ。まだ告んないのか、とか、喋ってもない、とか。
「あ〜、わかった、まず喋りなよ!」
簡単に言ってくれるぜ。自分は上手くいってるからって。←
そんな後押しがあってか、彼女のことについていろいろ調べてみると、同じクラスじゃん!!?!
それがわかってから、随分と喋りやすくなってしまった。そりゃ、最初はぎこちなかったけど。だんだんと心を許し始めたのだ。彼女も俺も。名前は●●というらしい。そういえばこんな名前の子が何回か授業中にあたってたような、あたってないような。

告白は俺からだった。答えは勿論Yes。それでないと、今付き合ってないって。←
それからというもの、俺たちは校内1のラブラブカップルでおなじみである。
シルクと一緒に帰れなくなったが、仲が悪くなることは決してなかった。しかも、応援練習がないときは、俺たち2人を、ザカオとつけているようないないような、そんな気がたまにする。心配しているのか、遊んでいるのか。俺はどちらでもよかった。
「あっ、ねぇマサイ!団長さんどっか走ってっちゃったよ!?」
●●の驚いた声を聞き、中庭を見る。そこには、めんどくさそうな顔をしたザカオと、動揺した顔の後輩たちがいた。彼らの視線の先を見ると、焦った顔のシルクがいた。親友の俺にはわかる。
「あぁ〜あぁ〜(笑)お暑いこって(笑)」
どーせ○○のところに行ったんだろ。(笑)わかる、わかるぞ、俺には。←
「えっ?なに?どーいうこと?」
●●にそう聞かれるも、何も答えない。結局はすぐに学校中に知れ渡るだろうから。
「こりゃ、シルクを好きだった連中が騒ぐねえ。」
そんな俺の一言を聞いて●●がこんなことを言い出した。
「もしかして、彼女できちゃう?じゃあダブルデートしないと!!(笑)」
「もしかして、彼女できちゃう?じゃあダブルデートしないと!!(笑)」
そんなこと言ったけど、なぜか心の内にはもやもやが溜まっていた。あのマサイと親しげに話していた女の子は誰なんだろうか。も、もも、もしかして!マサイを好きなのかな!?わ、わあっ、取られないようにしないと!

そんなことを考えながら應援團の練習を見ていた時。
「じゃ、そろそろ帰るかー」
マサイののほほんとした声が私の耳に届いた。
「そだね!」
あ、実を言うと、この3年間ずーっとマサイと同じクラスだったんですよ〜!自慢です!←
教室に入り、まとめて置いておいた2人のカバンをマサイが持つ。私のぶんまで。
「よし、俺のチャリ取りにいくか!」
そう、いつもこうやって私のぶんまで持ってってくれるんです。自分で持つよ!と言っても、どーせチャリのカゴん中入れるんだろ?と言って持たせてくれません。そんなことを考えながら歩いていると、いつのまにか駐輪場。そして、マサイがカラカラと自分のチャリを出した。
「っし!」
なぜか満足そうな顔をしている彼氏を横目に、隣を歩く。

それは、河原まで来たときだった。川を見ながら親しげに話していた話す男女は、シルクとあの女の子だった。
「あれ、、、?あの子、、、」
思わず口に出してしまった。ハッとして口に手をあてながらおそるおそるマサイを見る。するとなんかすごくアホそうな顔して
「あぁ、○○な。」
と答えた。え?なに?その顔。←
よくよく聞くと、あの子の好きな人は団長さんだったらしい。マサイはそれの相談にのってたんだってさ。心の底から安心した私は
「もうっ!マサイ大好き!」
と、声を出していた。そうとうな大きい声だったのか、道を歩いている人が不思議そうに、いや、妬ましそうにこちらを見ている。しかし、その状況に関係なくイチャイチャするのが私たち。←
「俺も!●●のこと大好き!」
団長さんたちのほうもあつあつだけど、私たちもあつあつだからね!
よし、じゃあダブルデートの計画を立てますか!
ねくすとん、だほだほ。

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