第3話

第3話
32
2025/01/12 23:40 更新
 第3話 800,000人突然死

それから数週間、僕の心はどんどん重くなっていった。デスノートの力が、僕の手の中で暴走していることに、完全に気づいていた。あの日、美月が言った言葉が何度も頭の中をぐるぐる回る。

「あなたがその力をどう使うかを選ばなきゃいけない。デスノートを使うことで得られるものと、失うもの。」

でも、選べなかった。選びたくなかった。その力を使ってしまったからこそ、もはや止めることができないと思った。

そして、その恐怖が現実になった。

ある日、朝のニュースで目にした衝撃的な速報。僕が、完全に信じられないものを目にした。

「速報です。現在、世界中で約80万人が突如として命を落としました。すべての死因は心臓麻痺とされています。これまでに確認された地域は、日本をはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、中東など、ほぼ全世界に及びます。原因は不明で、専門家による調査が続いています。」

その瞬間、僕は完全に凍りついた。80万人。信じられなかった。まさか、こんなことが起きるなんて。

「これ、まさか…僕が…?」僕は手が震えるのを感じながら、テレビの画面をじっと見つめた。

美月が隣に立っていた。僕が震える手でテレビのリモコンを握りしめているのを見て、彼女はその手をそっと取り、静かに言った。

「大地…これはあなたのせいじゃない。」

「でも…これは…明らかにおかしいよ。80万人なんて、ありえない。僕が使ったノート…それが原因だって、もうわかってる。」

美月は僕の顔を真剣に見つめていた。そして、少しだけ間を置いて、静かに言った。

「あなたがもし、それを使ったことを後悔しているのなら、今すぐにでも止められるはず。ノートを捨てることもできる。けれど、もしそれを使うことで、自分がどんな結果を招くかを覚悟しているのなら…その先に何が待っているのかを、しっかり見極めるべきよ。」

その言葉に、僕は言葉を失った。後悔している。確かに、僕は後悔している。でも、もう止められないのかもしれない。

あの日から、デスノートの力は加速していた。次々と名前を書いたわけではない。ただ、ある「流れ」ができてしまったような感覚があった。名前を書いたわけでもないのに、なぜか人々が次々と死んでいく。それが、まるでノートが自分で意思を持ち、何かを導いているかのようだった。

その後、警察と国際的な組織が調査に乗り出したが、どんなに調べても、その原因は全く掴めなかった。全世界で共通の心臓麻痺の発生、それが同時に起きるなんて、ただの偶然では片付けられない。

そして、僕はその事実を知った。

「大地、あなたが関係しているかもしれないということを、誰かが気づいたかもしれない。」

美月が言った。その言葉が、僕の背筋を凍らせた。警察が調査を進める中、ある筋の情報が明らかになってきた。それは、心臓麻痺が単なる自然現象ではなく、ある暗示的なパターンがあったということだ。

80万人という規模、しかもそれが全世界で発生したこと。それに加えて、心臓麻痺という死因。その全てが、デスノートの存在を示唆していた。

警察の捜査員が、デスノートに関する情報を掴み、秘密裏に調査を始めているという噂が広がってきた。僕が使っていたそのノートが、ついに世界を揺るがす事件に繋がってしまった。

「今すぐにノートを捨てるべきだ。」美月が言った。「あなたがこれ以上、それを使うことで、誰かが命を落とすことを選んでしまう前に。」

その言葉を聞きながら、僕は震える手でポケットからデスノートを取り出し、ただじっと見つめた。もし、今すぐにでもノートを破壊したとして、もう元には戻らないだろう。それでも、今、僕にできることはそれしかないのだろうか。

その時、僕はふと気づいた。美月の目には、深い悲しみと覚悟が宿っているように見えた。もしかすると、彼女はこの瞬間、僕を試しているのかもしれない。

「選ぶのは、あなたです。大地。」美月の声が響いた。

その時、僕は決心した。デスノートを捨てるのか、それとも使い続けるのか。どちらを選ぶにせよ、僕の人生はもう戻らない道に進んでいることを、深く理解した。

---

プリ小説オーディオドラマ