第27話

21.忘れ事
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2025/09/24 10:00 更新
赤葦京治side

 最悪だ。こんな肝心なことを忘れるなんて。
 いつもよりも余裕がなかった。初めての出来事に、気が動転していたこともあるかもしれない。
 けど、敵が死んだかどうかの確認を怠るなんて。
 マフィア失格だ。
赤葦 京治
影山と角名が、敵の言ったことに腹を立てて敵の腹を撃って右腕を切り落としたんです。
木葉 秋紀
うへぇ……
赤葦 京治
それで、先に監視カメラの処理と証拠隠滅をしてしまって……
木葉 秋紀
まさか……
赤葦 京治
はい、本当に死んだかを確認していなくて……
木葉 秋紀
やばいじゃん
赤葦 京治
はい、だから急いでるんですよ……
木葉 秋紀
嘘だろ……
赤葦 京治
あいつが、いない……
木葉 秋紀
……血痕がまだ残ってる、これを辿れば……赤葦?
 どうしよう、もしもこれで町に被害が出たら……
 というか、普通の人は腹を撃たれて片腕がない人間を見たら通報するはず、そこであいつが俺たちのことを話したら……
 俺らは、確実に……
 嫌だ、せめて国見と孤爪だけは……
 あいつらは今日の依頼に関わっていない、俺らのことを知らないということにすれば……!
 ああ、どうすればいいんだ……!!
木葉 秋紀
赤葦!!
赤葦 京治
ハッ……
木葉 秋紀
落ち着け、人間ならまず町まで下ることはできないはずだ。落ち着いて探そう、な?
赤葦 京治
はい。
 ……月が、綺麗だ。
 俺はそっと、動かない国見の手を握る。
影山 飛雄
ごめんな、俺は何もできない。
 深夜の病室に響く機械音。国見の呼吸は、日に日に浅くなっている。
 なあ、もう死んじまうのか?
 やり残したことがあるんだろ?
 まだ、金田一たちとも日向とも会ってねぇじゃねぇか……
 もう、涙も出ない。
 外が騒がしい。何かあったのか?
看護師
か、影山さん!
影山 飛雄
?どうしました?
看護師
そ、外に……片腕のない人が……
影山 飛雄
えっ?
 そんな時、スマホに通知がきた。



赤葦京治
まずい、あの時死んだか確認してなかった。



影山 飛雄
っまじか……
看護師
あの、ですのでその方の手術を……
影山 飛雄
待ってください。危険ですので、くれぐれも病院の外に人を出さず、その人物を中に入れないように。
影山 飛雄
あいつは、最近問題になっているストーカー殺人事件の犯人です。
看護師
っ!もう、入れてしまいました……
影山 飛雄
……国見をお願いします。
看護師
えっ?あ、影山さん!!
 俺は病室を出て、入口へと向かった。
 走りながら、赤葦さんに電話をかける。
赤葦 京治
『もしもし?』
影山 飛雄
『赤葦さん、今病院にアイツが……!』
赤葦 京治
『今向かってる、それまで耐えて。角名たちも行ってるから。』
影山 飛雄
はい!
 受付に行くと、案の定あいつがいた。

 ——腹にあるはずの傷が、消えていた。
殺人犯
おい、早くしろ!止血剤を持ってこい!!
看護師
ですが、今は……!
影山 飛雄
おい。
殺人犯
あん?お前、さっきの……!
影山 飛雄
一回黙れよ、耳が痛ぇ。
殺人犯
っ……!
看護師
あの……
殺人犯
あ”ん?いいから止血剤用意しろよ!こっちは片腕ねぇんだぞ!?!
影山 飛雄
お前、片腕残ってるだろ。
殺人犯
はっ!?
影山 飛雄
恐らく沙羅紗が斬ったのは偽物。本当は、服の中とかにあるんだろ。
殺人犯
ちっ……ああそうだよ!
影山 飛雄
腹の傷は……おそらく、防弾チョッキだろうな。撃った時の反応は本物だった。それに、服のシワが歪だ。
殺人犯
そこまでバレてんのかよ、めんどくせぇ……
影山 飛雄
警察は恐らく角名さんたちが呼ぶ。大人しくしてろ。
殺人犯
はっ、そうはいかねぇなあ?
殺人犯
俺がここにきたのはよぉ……


















































殺人犯
お前らのお仲間を確実に殺すためだよぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!
影山 飛雄
っ!!
 アイツは叫びながら国見の病室の方へと向かう。
 クソ、場所は把握済みかよ……!!
看護師
きゃああああああああ!!!!!!
影山 飛雄
大丈夫ですか!!!
看護師
あ、影山、さん……
殺人犯
へえ、足は速いんだな……だが、
殺人犯
お前の好きな奴も今日で終わりだ……
 男は刃を国見に向ける。
 こんなこと、とっくに慣れてんだよ。
 俺はすかさず、近くにあったペットボトルを男の手目掛けて投げた。
殺人犯
ってぇ……!
影山 飛雄
国見から離れろ。
殺人犯
うっせぇな、なら……
 男は、国見の横に置いてあった銃と面を手に取る。
影山 飛雄
っ、今すぐそれを置け……!
殺人犯
これはこいつのだろ?なら、壊してやるよ。
影山 飛雄
やめろ、それは……!!
影山 飛雄
そういや、国見のお面って月島たちとは少し違うよな。
国見 英
ん?ああ、狐の面ね。
国見 英
中学の時に、金田一と及川さんと、あと岩泉さんと一緒に、5人で祭り行ったじゃん?その時の仮面を改造したやつ。赤葦さんが作ってくれた
影山 飛雄
へえ。
国見 英
……俺の、一番大切な物。
影山 飛雄
ふっ、お前らしいな。
国見 英
なんだ、笑うな。
 それは、こいつの……!
影山 飛雄
やめ——
バキッ
 国見のお面は、男に踏まれて、割れて壊れた。
影山 飛雄
ぁッ……!
 途端、怒りが体中から込み上げてくる。
殺人犯
はは、ざまあ見やg
影山 飛雄
う”あ”あッ!!
 俺は男の上に乗り、刃物を取り上げて首に向ける。
殺人犯
おま、やめろ!離せ!!!
影山 飛雄
よくも……よくも国見の面をッ!!!
殺人犯
知るかよ!!!
影山 飛雄
許さねぇ!!お前は黙って今地獄に墜ちろ!!!
月島 蛍
ちょ、影山!!
 病院に来た月島が俺を引きはがし、角名さんが男を取り押さえる。
影山 飛雄
離せッ!月島!!!
月島 蛍
落ち着いて、なにがあ——
影山 飛雄
お前だけは!お前だけは絶対に許さねぇ!!!
月島 蛍
なんでそんな怒ってんの!!
 止まれない。
 こいつに対する負の感情が湧き出て、もう制御が効かない。
 ただただ、国見のこの世で一番大切な物を壊したこいつに、腹が立つ。
月島 蛍
一回外出よう!!!
角名 倫太郎
こいつは俺に任せて!









月島 蛍
で、なんであんな怒ってるの?
影山 飛雄
……
月島 蛍
はあー……なんで国見の仮面壊されたくらいでそんな怒んの?たかが仮面デショ。
影山 飛雄
あ”?
月島 蛍
な、なに……
影山 飛雄
……あのお面は、国見の一番大切な物なんだよ。中学の時、みんなで祭りに行って、そのときみんなで選んで買った物なんだ。
月島 蛍
……成程。
角名 倫太郎
月島、あいつはもう警察に引き渡した。
月島 蛍
ありがとうございます
角名 倫太郎
で、影山はなんだって?
月島 蛍
国見の仮面を壊されたそうです
角名 倫太郎
ああね、床に落ちてた。一応赤葦さんが直そうとしてくれてるみたいだけど……
影山 飛雄
ありがとうございます。それでは。
角名 倫太郎
あ、ちょ……!
影山 飛雄
……ごめん、国見。
 国見の病室を通りすがる時、小さな声でそう言った。

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