秘密書類が管理されている場所は
ヨコハマの端にある小さな工場の地下らしい。
“小さな”…と言っても、それは表向きだけで
地下にはとても広い空間があった。
私は其処に潜入し、秘密書類があると
言われている部屋に忍び込む。
こういった任務は初めてではない。
安全装置に気をつけて
USBに情報をコピーし、持ち帰る。
それだけの任務の筈だった……
ピピピピ!!!!
突然鳴り響いた警報音は、
侵入者の存在を知らせるためのもの。
甲高い音を繰り返す警報音に急かされてしまう。
私は速やかにUSBを外套のポケットにしまい、
建物から脱出しようと試みる。
しかし事前に考えていた脱出経路は封鎖され、
その道から建物外へ出ることは難しい。
ただでさえ、地下なのだから
地上へ上がる道は限られている。
どうしようかと頭を悩ませていた時、
今回首領に渡された任務資料の中に建物内の
構造が記された紙があることを思い出した。
記憶を手繰り寄せ、
この状況から生還する糸口を考える。
確かこの建物内で、3箇所だけ
壁が薄く出来ている場所があった。
そして、その近くには地下水道がある。
私は見張りに見つからないよう建物内を移動し、
目的の場所まで行った。
私はご信用に持っていた手榴弾の止め金を外し、
それを壁の方へ投げてから物陰に隠れた。
カンッ……カララ……と手榴弾が音を立てて床に落ちた途端、ドガーン!!と大きな音を立てて爆発する。
そして私の狙い通り壁に穴が空き、
地下の下水道と開通した。
無論、爆発音を聞き付けて
人の跫音が聞こえてくる。
だけれど、予め扉は重いもので
塞いだから直ぐには追いかけてこれないだろう。
私は建物の壁を越え、
地下水道に沿って走り出した。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!