第15話

No.15 この傷を紛らす方法
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2024/01/05 07:00 更新

首領室の扉の前に立ち、深呼吸をひとつする。



急な呼び出しに加え、先程の出来事の所為で

何か悪いことが起こるのではないか
という考えが働いてしまう。

コンコン……
あなた
癒月ゆづきあなたです。失礼します。
そうか告げて扉を開くと、
長机の奥の椅子に座られている首領と
その横でお絵描きをしているエリス嬢の姿が見えた。

森鴎外
意外とはやい到着だったねぇ。
もう少しかかると思っていたよ。
あなた
首領の命令が何よりも大切ですから。
本当は予定が無くなってしまったことの虚しさを誤魔化すためか、私は無意識にそんなことを言っていた。





森鴎外
君を呼んだのは、次の任務を
任せるためだったのだけど……

首領はそう言いかけて言葉を止める。

私がその訳に気になって首を傾けていると、
首領はそれを察したのか再び口を開く。
森鴎外
あなた君、疲れているんじゃないかい?
あなた
そんなこと__!
森鴎外
医者の目は誤魔化せないよ。
森鴎外
況してや、君との付き合いも
短くないのだから。

“私は疲れている”

そんなこと、考えもしなかった。


確かに、最近はいろんなことがあったし
多くのものを失った気がする。

だけれど、それは過去のことにしかすぎない。



ちゃんと、前に進まなきゃいけない。

私はそうやって自分に言い聞かせていた。



でないと、私は前に進めなくなってしまうと思った。
あなた
お願いします。
私に任務をやらせてください。

私が何度も首領にそうお願いすると、
首領は大きな溜め息をついて私の方を見た。
森鴎外
…任務内容は秘密書類の回収だよ。

首領によると、今回回収する秘密書類はポートマフィアに潜入する諜報員スパイに関する資料らしい。

それがあれば、裏切り者が誰なのか一目で判る。
森鴎外
……頼めるかい?

私の生きる道は此処ポートマフィアしかない。

なら、確実に成果を出していかなきゃいけない。



弱音なんて、吐いてられない。

任務を完遂し、組織のために尽力する。



それが私の役目。
あなた
はい。必ず完遂します。



私はいつの間にか、自分の躰にも
心にも嘘をついて任務へと自分を沈めていった。

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