桜が咲き誇る空の下。
俺たちは今日、卒業する。
泣いているのか、俯いている芽衣。
少しの沈黙を破って、言葉が飛び出す。
なにも言えない。
辛くて。悲しくて。
彼女もまた、辛そうな顔をしている。
こんな時、気の利いた言葉の1つでも、
俺の口から出てきてくれたなら、
どれだけ彼女を喜ばせる事が出来ただろうか。
何も言えなくて、
ついそんな言葉が口からこぼれて落ちる。
それは君に拾われることもなく、
そのまま降りゆく桜に紛れてしまった。
哀しそうに口を開く君。
離したくない。
ずっと、そばにいてあげたい。
そんな気持ちが、
いつの間にか口を動かさせていた。
芽衣は涙をこらえながら、
コクンと頷いた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。