あなたの下の名前side
私は、画面に文字を打ち込み、送信ボタンを押した。
今日は午後の時間、ユニットのKnightsのプロデュースを任されていた。
が、今の私は動けないのだ。
___なぜか。
私の膝の上にはみかくんの頭が乗っていた。
彼は私の予想通り、アルバイトを無理してこなしていたのだ。
久しぶりに見た彼の顔は、明らかに元気が無く、青白い顔をしていたのだから驚いた。
彼は甘えることを知らないのだろう。
これからはもっと、人に頼ることを覚えていってほしいものだ。
もともと入っていたレッスンの予定を守らなかった。私は酷いプロデューサーだ。
しかし、今は彼を優先しなければ彼が壊れてしまいそうだったのだから、自分の選択に後悔はない。
みかくんのふわふわとした髪の毛をそっと撫でると、猫っ毛のやわらかい感触が指先に残る。
その頼りなさが、なんだか余計に放っておけなくて。
無性に、彼を甘やかしてあげたい気持ちになってしまうのだ。
___数時間後。
膝の上で、黒髪がくすぐるようにもぞもぞと動く。
くすぐったくて、思わず小さく笑ってしまった。
彼は寝ぼけまなこで、なぜ私の膝の上で寝ているのかといった顔をしたかと思うと、次の瞬間には勢いよく飛び上がった。
そう言った彼の顔は、先ほどの青白さはなく、少し活力が戻っているように見えた。
チラリと腕時計の時間を見る。
まだ、Knightsのレッスンに参加できそうだ。
私は思わずくすりと笑い、彼に言う。
彼はどこか表情が明るくなった。
__と思うと、今度は少し暗い表情になった。
みかくんが、ぽつりと本音を零してくれた。
そうだ、彼は斎宮さんが今の状態になってからずっと、孤独を感じているのだ。
どんな形であれ、彼がまた私を頼ってくれるようになったことが嬉しかった。
彼と別れの挨拶を交わし、Knightsがレッスンをしている部屋へ向かう。
__その後、Knightsのお兄様からありがたいお叱りを受けたことは言うまでもない。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。