第3話

すれ違う心
131
2023/06/14 10:08
凪原月
凪原月
ねぇ…返してって!
小川桜花
小川桜花
嫌だよ!
凪原月
凪原月
私のじゃん!
小川桜花
小川桜花
でも、こんなこと書いてたの、許せないし!
凪原月
凪原月
私の勝手じゃん!
凪原月
凪原月
いいじゃん!
凪原月
凪原月
私が死んだって、何も変わらない。
私が生きてても、なんの価値もない。
私たちは早口で言い合った。
けど、急に桜花は口を止めた。
小川桜花
小川桜花
そんなこと…、言わないでよ。
小川桜花
小川桜花
生きてるってことは、それは、すごい価値あることなんだよ。
小川桜花
小川桜花
だから、そんなこと、もう言わないで。
凪原月
凪原月
凪原月
凪原月
でも、もうどうせ死ぬから。
私の治療法は、もうない。
あとは死ぬだけなんだ。
小川桜花
小川桜花
だから!死なないかもしんないじゃん!
生きれるかも、しれないじゃん?
小川桜花
小川桜花
その少しの可能性を信じようよ、信じよ、ね?
凪原月
凪原月
でもっ…
小川桜花
小川桜花
でもじゃない!
小川桜花
小川桜花
月が生きてることは、凄いんだよ。
それだけで、もう十分なんだよ。
小川桜花
小川桜花
どんな夢を描いたって良い、どんな恋をしたって良い。
なんでもできる今を楽しんで!
先のことなんて、考えなくて良いんだよ。
小川桜花
小川桜花
今を、楽しんで!
桜花はそう言って、私に手を差し伸べてくれた。
でも、私はその手を振り払った。
凪原月
凪原月
桜花は、私の気持ちなんてわかんないでしょ!
凪原月
凪原月
勝手なこと、言わないで。
私だって、そんなことはわかってる。
こんな暗いこと、言っちゃいけないことも。
未来のことを考えて不安になる必要ないってことも。
そんなこと、私が1番わかってる。
それを他人に言われて、どことなく傷ついてしまった私。
ー最低だな。

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