その後、私は暗い空気に耐えられなくなり、部屋を抜け出した。
私はそう言いながら、ゆっくりと点滴を体から外していった。
この前、看護師さんが言っていた。
と。
だから、私は外すことにした。
外せば、“死ねる”んだ。
ペリッ
針を押さえている最後のテープを剥がした。
あとは、針を抜くだけ…
スポッ
針を抜いた瞬間、体に激痛が走り、思わずしゃがみ込んだ。
苦しくて仕方なかった。
自分でこの選択をしたのに…“助けて”なんて、自分が情けなさすぎる。
そこに駆けつけてくれたのは、桜花だった。
今思えば、隣に桜花が引っ越して来てから、ずっとそうだった。
私が1人でいたら、必ずいつも駆けつけてくれていた。
また、来てもらっちゃった。
桜花は、私に何か話しかけてくれていたけれど、私の記憶はそこで途切れた。
あれから4年。
私、桜花は4年前の親友に会いに来た。
4年前のあの時から、よーかは仕事の合間をぬって月に会いに来ていた。
そして、近日報告を欠かさずしていた。
いつか、月が目を覚まして、一緒にまた、あの時のように喋れる日を私は待ち望んでいる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。