第116話

人魚姫の涙。
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2024/07/14 09:15 更新











あなたが傍に居ない日常になってから

もう1ヶ月半が経過し、12月に入っていた

あれからずっとあなたが目を覚ます事はなく

目を固く閉じたまま、眠り続けていた



















白布:あなた、来たぞ



あなた:………




















俺は今日もガラス越しに君に話し掛ける

だけど返事が返ってくる事はなかった

そうわかっていても、

俺はあの日から毎日あなたに会いに来ていた



















白布:今日も………泣いてるのか?




















あなたはあの日からずっと涙を流し続けた

あなたの涙は止まることを知らなかった

今まで泣いてこなかった分の涙、

ここまで辛い思いをしていたということを

痛感させられる日々だった




















颯:……なんだ、いたの



白布:………!






















毎日お見舞いに来ているのは俺だけじゃなかった

昼間はあなたのお母さんが、

そして今日は遅れてくるが太一も来ている

そしてもう一人、颯も毎日お見舞いに来ていた




















颯:……今日も……泣いてるんだな



白布:………ああ




















颯はきっと俺のことが許せないと思う

俺に譲ったからこうなった、

無理やりにでも自分のものにしておけば

あなたは今も笑っていたかもしれない

俺がもし颯の立場だったらきっとそう思ってる

だけどあの日以来、

颯が俺を責めてくることは一度もなかった





















白布:……あのさ



颯:ん?



白布:怒ってねぇの?



颯:何を?



白布:………俺のこと



颯:は?怒ってるに決まってるじゃん



白布:え?



颯:お前の事も奈々美さんの事も、妹のことだって川西の事だって、もちろん自分に対しても怒りは収まらねぇ



白布:………!



颯:……けど、人を怒ったところであなたは戻って来ねぇし、あなたはそれをきっと望んでねぇから



白布:え………



















颯は寂しそうな目であなたを見詰めていた




















颯:……もちろんお前に渡したくなかったよ



白布:え?



颯:川西ならともかく、俺の方がお前よりも先にあなたを好きになって、先に出会っていたのに何であなたはお前を選んだんだって



白布:………!



颯:けど、だからこそお前のこと凄いなとも思った



白布:え?



颯:あんなに恋愛してこなかった子が好きになるなんて、相当じゃん



白布:………!



颯:前にも言ったけどあなたは真っ直ぐな奴だから、真っ直ぐにお前の事が好きだったよ



















" 悔しいくらいにね "

俺はその言葉を聞いてまた、涙が出てきた




















颯:あなたはお前の事、嫌いになったりしねぇよ



白布:え?



颯:だってあなたは嫌われなきゃいけなかったんだろ?だから嫌われるように自分から仕向けてお前らはそれで動いただけで、別に恨んだりとかはしてないと思う



白布:………!



颯:だからあなたが目を覚ましてからはさ、























『 また" 好きだ "って伝えてあげてくれね? 』
























颯:それがきっと、あなたにとって1番の幸せだと思うから



白布:颯………



颯:それが出来るのは俺じゃねぇ。お前しかいねぇから



白布:………!






















颯は荷物を持って立ち上がり

扉の方へと足を進めた

そして扉を出る前に、振り返った




















颯:そういえばさ



白布:?



颯:俺、あなたの事を沖で助けたって言ったじゃん?



白布:?ああ



颯:あん時、もうあなたは意識がない状態で倒れてる状態だったんだけどさ




















『 濡れた身体が朝日に照らされて、

不覚にも" 綺麗な人魚姫? "って思ったんだよね。』























颯はそう言って部屋を出ていった

つまり今俺が目の前で見ているのは

" 人魚姫の涙 "っていうことか。












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