前の話
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朝の満員電車。
人の波に押されながら、俺はドア付近に立っていた。
次の駅まで、あと少し。
いつも通りの、退屈な時間。
……のはずだった。
足元が、やけに不安定だ。
急ブレーキ。
ギギギッ――!!
体が前に投げ出される。
つり革を掴み損ねた、その瞬間。
ドアのガラスが、目の前まで迫った。
このまま突っ込めば、
確実に――ヤバい。
ドンッ!!
誰かに背中を押された。
押された方向は、
さらに人が密集している車内の中心。
このまま倒れたら、
下敷きになる。
逃げ場がない。
そのとき、ポケットのスマホが震えた。
画面を開く。
【危険判定:高】
【コメントで回避行動を指定してください】
見る間に、文字が浮かぶ。
【残り時間:10秒】
9
8
7……
選択肢が、表示された。
A:とっさにつり革に飛びつく
B:前の人の肩を掴む
C:しゃがんで衝撃を避ける
息が詰まる。
どれが正解か、わからない。
間違えたら――
この電車内で、俺は大怪我する。
6
5
4……
なあ。
画面の向こうにいる誰か。
頼むから、
ふざけた選択だけはやめてくれ。
⸻
【コメントで助けてください】
A/B/C のどれかを書いてください
※一番多いコメントが次話で採用されます
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。