てか、さとみくん足早っ?!?!
追いつかれそう、やばい!!!
そんなさとみくんの声と共に
私の腕がさとみくんに捕まる。
その腕を引っ張られたと思ったら
すぐに彼の腕の中。
耳元で呟かれ、うっ…と唸る。
さとみくんはずるい。いつだって。
私の上をいってしまう。
待ってといっても、必死に走っても。
彼に追いつくことはないのだ。
それが悔しくて、いつも反抗してしまうけれど
今日…今だけ。
強ばっていた体から力を抜いて
私を抱きしめるさとみくんに体を預けてみた。
いきなりのことで驚いたのか
さとみくんが目を丸くする。
私だって驚きだよ。
まず、こうしようと思ったこと
褒めて欲しいね。
…と、そんなことは置いといて。
あの時聞こえたさとみくんの声。
夢にしては妙に現実的で
おかしいぐらいに響いてきて。
そして、あの言葉が
本当なのか、そうじゃないのか。
もし夢だけの話で、私の妄想の話なら
恥ずかしいけど。
あの声に救われたのは事実で、
あれがさとみくんの声だったのも事実だ。
そして、私が愛していると伝えたかったのも
また、紛れもない事実だから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。