ピッ…ピッ…
静寂な部屋に冷たい電子音が響く。
『…相澤先生。』
✧
保健室で災害救助演習が終わるのを待っていたとき、緑谷くんと痩せほそった長身の男性が入ってきた。
ものすごく、ボロボロな姿で。
『私のせいだ…』
『ぁ、すみません。もう体調も良くなったので、そろそろ教室に戻ります。リカバリーガール、ありがとうございました。』
椅子から立ち上がり、緑谷くんたちがいる扉の方へと歩みを進める。
『緑谷く、…』
「あなたの名字さん、!授業中いないなと思ったら、保健室だったんだね!体調は大丈夫…?」
『私なんかより緑谷くんの方がボロボロだよ、
何があったの?』
私は彼から事件のあらましを聞いた。
相澤先生のことも…。
✧
相澤先生のお見舞いにでも行きたいな、と何だかヒーローらしい考えを持っていた放課後の廊下。
みんなに、ヒーローに、感化された…のかな。ヒーローになんて行けるはずないのに。
───「おや、もしかしてあなたの名字あなたの下の名前さんかな、?」
「私は塚内直正、USJの一件を調査している警官だよ」
校内を捜索し終わったところなんだよ、と。
「今回の事件は意図的にA組を襲ったと私は見ている。君は体調不良で保健室に居たそうだが、何が奇妙な点はなかったかい?」
『特に…何もありませんでした。』
そうか、それは良かった と塚内さんは頬を緩ませた。
西日が射し込む廊下に沈黙が流れ、「では失礼する」と塚内さんが言ったとき、
咄嗟に、口が開いた。
『あ、あの!相澤先生ってどこの病院かご存知ですか…?』
────────────────
『…相澤先生。』
その後、塚内さんは相澤先生の入院する病院を教えてくれた。せめて、この事件の最後を見届けなければならない、と私は重い脚を病院に向かわせる。
……ひどい怪我だ。
「…目に後遺症が残るかもしれない。」
塚内さんの言っていた言葉がフラッシュバックする。
私が招いたことだ、目を背けるな。
一定のペースで鳴る機械音に合わせて、様々な情景がふつふつと浮き上がった。 そういえば……、
あのとき…緑谷くんが保健室に来たとき、
一緒にいた男性は誰だ、?あんな人雄英に居るなんて聞いたことがない。
────────────オールマイト。
私は心の中で一つの結論を導き出した。
なんたって、"核"が同じだったからだ。
✧─────【個性】核変換
原子構造を組み換えることが出来る。化学反応を起こすこともできる。
それが出来るのは身体能力として、物質の構造まで読み取れる"眼"の良さに帰着する。
母の眼と父の個性が混ざり合い、新たな個性因子となって誕生した突然変異型の個性である。
あなたの名字あなたの下の名前は、オールマイトの細胞の中にある"核"、そしてさらに細かいDNAまでも把握していた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!