第9話

ドミノ
579
2021/11/07 08:19
気がつけば2分も経っており、時計の針は9時59分を差していた。
恵奈
恵奈
あっ!早く出ないと。
店員さん
店員さん
もう出るのですか?
恵奈
恵奈
はい。あと1分で待ち合わせ時間なんで。
店員さん
店員さん
そうですか…では、ご来店ありがとうございました!
私はまだ料金を支払っていなかったので店員さんに聞くと、今日で最後だから、払わなくても良いとのことだ。
恵奈
恵奈
ありがとうございます。
大変ですね、今日で最後なのに仕事があって___
「今日は午前までなので大丈夫ですよ」と最後まで返事をくれる店員さんに手を振り、私は店を出て竹下通りの門のような場所へ向かった。
門の右端に皆が集まっている中で私は温真くんを見つけた。
よし、今度こそ。
今度こそ、あいさつしたい。
恵奈
恵奈
はっ、温真くん、おは…よう…
また小さい声で言ってしまった。
これも小さい頃からの悪い癖。
恵奈
恵奈
わっ!
おまけに誰かの肩にぶつかり、温真くんの背中に向かって倒れてしまった。
きっと、こんなこと考えている暇なんてないかもしれないが、温真くんの背中は暖かくて、少し大きい。
恵奈
恵奈
温真くん、ごめん!
ドミノのように倒れた温真くんと私は、いつの間にか  かなりの注目を浴びていた。
温真
温真
いてててて…
温真くんは膝を曲げて、唸っている。
ああ、申し訳ない…
と、その時。
クラスメイト3
クラスメイト3
温真くん大丈夫⁉︎
クラスメイト1
クラスメイト1
良かった!傷は無いけど、なんであんた温真くんの背中に倒れたの?
いきなり目を向けられてしまった。
私はパニック状態。
恵奈
恵奈
いや、人にぶつかって…
また文句言われる!
と思ったが、
クラスメイト1
クラスメイト1
もーっ、次から気をつけてよね!
その子は軽く注意するだけで終わって、なんだかホッとした。
これは、田中さんのおかげかもしれない。

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