第184話

春高1次予選開始!
1,349
2022/10/29 10:28


あなたのあなた「……お弁当持った、ノート持った、」



白布「おい、そろそろもう出るぞ。」


あなたのあなた「あっ!ちょっ……待ってよ!!」




玄関前で再びバッグの中身をひっくり返し出す私に、お兄ちゃんから辛辣な一言が向けられる。


でも本当に置いてかれてるレベルで時間が迫っているのも確かなので…あとは昨日の荷物を詰めた自分を信じるだけだ。



ドアを開けると眩しい朝日が、私の背中を押してくれるようだった。




あなたのあなた「行ってきます!」




エナメルバッグを抱えて白鳥沢のジャージを着るお兄ちゃんの隣に並んで、一緒に朝の住宅街を歩く。





白布「1次で落ちればあなたのあなたも思いっきり白鳥沢応援できんのにな。」


あなたのあなた「そんな縁起の悪いこと言わないでよ…」




お兄ちゃん…私が烏野のバレー部に入りたいって言ってた夏前はすごい応援してくれてたのに。



心の中で不満げに思うけど、お兄ちゃんらしいとも思えるから強くは言えない。





“上がってこい”



そんな、お兄ちゃんなりのメッセージだから。






あなたのあなた「心配されなくても、烏野凄いんだからね!」


白布「あっそ。」




素っ気ない返事を残してスタスタと先を歩く背中を、私は慌てて追っていく。





…やっぱりお兄ちゃんにはもう少し愛想というものがあった方がいいと思う。












そうして私はお兄ちゃんと別れ、烏野高校に着くとバスに乗って会場へと向かっていった。



あなたのあなた「日向、会場見えてきたよ!…って大丈夫!?」


日向「うっ……だ、大丈夫、ちょっと気持ち悪いだけ…」




後ろの席を振り向けば、顔を真っ青にした日向くんが窓の外に目もくれず、項垂れていた。



それに気づいた先輩たちが笑ったり主将の喝が入ったりと、いつも通りな空気に車内が包まれる。





そっと会場に視線を戻せば、やっぱりこの場所には見覚えがあった。







『俺、白鳥沢に行く』




3年前の中体連で、お兄ちゃんは牛島さんに憧れを抱いた。





そのきっかけとなったのがこの会場だったのだ。





そんな舞台を前にして、自然と握った拳に力が加わる。






中学以来、選手側に立つ久しぶりの公式戦。


烏野高校排球部マネージャーとして来る初舞台。




IHの時とは明確に違う、はっきりとした信念がある。






“お兄ちゃんたち倒して、このチームで全国へ行くんだ。”






そう改めて心に誓うと高揚も少し落ち着いて、すっと緊張も消えていった。
















澤村「行くぞ!!」


烏野「おおーっ!!!」




力強い掛け声と共にコートに入ってくる選手たち。




仁花「あそこ!横断幕あったよ!」


あなたのあなた「あ、ちょうど烏野のアップ始まったとこだね。」




『飛べ』と刻まれた漆黒の横断幕の真ん中を陣取り、私と仁花ちゃんは上の観覧スペースから試合を見届ける。





私たちの初戦の相手は扇南高校。


何の因縁なのか、IHの初戦でお兄ちゃんたち白鳥沢が戦った高校だ。




その時は確か…主将らしき3年生だけが必死に食らいついて、他の選手たちは諦めモードで試合をしていたと思う。






それでも、試合が始まればどんな相手だろうと真剣勝負。



祈るような思いで彼らのアップを見て、選手たちの身体に違和感がないことをしっかりと確かめていた。







ピピーッ




春高バレー、烏野高校の戦いの始まりのホイッスルが、高々と鳴り響いた。







澤村「烏野ー!ファイッ________」



烏野「おーっ!!」

仁花・あなたのあなた「おーっ!」




「お、あんたも見に来たのか!」



仁花ちゃんの隣で烏野を見守っていたおじさんが、私たちの後ろの誰かに向かって、そう話しかける。




私も気になって振り返ってみると、そこには____




あなたのあなた「烏養、前監督…!」


烏養「おぉ。ってお前はあん時の……」


優「あ!翔ちゃんと一緒にいたお姉ちゃんだ!!」

倫太郎「ほんとだ〜!」



日向が影山くんと喧嘩した時、その後1人でもコート上に立つために、日向くんを鍛え上げた烏野の元監督、烏養さんと、その元で教わる小学生たちが来ていた。



仁花「烏養って……コーチの?」


あなたのあなた「そう、烏養コーチのおじいさんで、武田先生の前の烏野の監督なんだって。」


仁花「す、すごい…!!」



そんなふうに仁花ちゃんと小声で話していると、「白布」と威厳のある声が私を呼んだ。




烏養「お前さんも、もう大丈夫そうだな。」



いつもは不敵に笑うであろうその笑みは、優しく私を見つめていて、烏養前監督の厳しさの中にある暖かさに触れた気がした。





あなたのあなた「その節は大変お世話になりました…」


烏養「なぁに、あのチビ太郎が励ましてくれたんだろうが。俺は何もしてない。」


あなたのあなた「…日向にも、本当に感謝してます。」




本当に、あの時の日向の言葉に、烏野の皆に救われた。



あのどこかひとつでも欠けたりしたら、今の私はきっとここに立っていなかっただろう。






紺色の烏野ポロシャツの裾をしっかりと握りしめて、その存在を確かめる。







私はもう迷わない。胸を張ってこの言葉を言える。







あなたのあなた「烏野!ファイトーっ!!」






















……………………………!作者より!…………………………





最近白布さんの高まりが私の中で著しいので、もう続き書きたくてうずうずしてました!



ただ、ほんとにこの1、2週間は今までにないレベルで忙しくて…ようやく更新できてとりあえず一安心です☺️







いよいよ春高編が始まっていくわけなんですけれども!



ここで私事ではありますが、お知らせです!!













白布さん夢のTwitterアカウントを作りました!(一昨日)






プリ小説とTwitterの連携の仕組みがイマイチわからず、明日以降再挑戦しますが…



こちらの @kasumi_504にてほぼ毎日更新する予定です!(マイペースなのでわかりませんが)





プリ小説の更新が遅れているときは、多忙という言い訳をこちらのアカウントで愚痴ってるかと思います笑



名前は「霞澄(かすみ)」ですが、プリ小説から来ていただいた読者さんには、ぜひ今のまま「なのちゃん」と呼んでもらえると嬉しいです✨


(その方が「いい子って…」を読んでくださってる方だという前提を把握できますので🙇‍♀️)







こちらは自己投影型の夢の呟きの場となっています!




↑こんな感じで本編とは全く関係ない白布夢を呟いてます!






守っていただきたいルールとしては、


◎“プリ小説”や“「いい子って、大変なんだね……お兄ちゃん」”などの、なのちゃん🍯🥜に繋がるキーワードを出さないこと。



・プリ小説→(とある)サイト

・「いい子って、大変なんだね……お兄ちゃん」→長編


という表記にしますので、予めご了承ください🙇‍♀️





◎「なのちゃん🍯🥜」❌→「なのちゃん」
と、呼んでくださる時は絵文字なしでお願いします!









堅苦しいのはここだけですので!ぜひ「霞澄」のアカウントも覗きに来てくださいね〜👋












フォローしてくれるとうれしいな|ω・` )チラッ







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