春。
今年は例年の春と一味違う。
春なのに
花見をする妖怪が集わない
みんなもどうやら暴走する妖怪たちに手を焼いているよう。
もう私一人の手に負えない。
桜の花びらが舞うなか
今日も妖怪退治に勤しむ
お祓い棒だけじゃなくて
陰陽玉を使うようになった。
もちろん霊夢の入れ知恵なんだけど
みんなは言う
人里に顔を出して
私がまだ受け入れられていないことを知った
霊夢が偉大すぎるんだもん
しょうがない…
しょうがない
そう自分に言い聞かせるけど
いや…?
雑草の天ぷら私もそう好きじゃないんだけど
夕飯を頬張りながら
霊夢たちの茶番を眺める
慣れてきたけどさ…
ものすごい勢いで否定してくる霊夢姉さんを横目に、
魔理沙姉さんはこう尋ねてきた
その言葉に
胸がずきんと痛む
友達…
友達かぁ
姉さんたちは全然何も悪くない。
私の環境がちょっと特殊だっただけで
いま、ぎこちない顔だったかな
姉さんたちの箸を持つ手が一瞬静止した
その後何もなかったかのようにご飯をかきこむ
謎の肩書きと共に
姉さんたちの優しさが添えられてて
思わず笑みが溢れる
少女たちが暮らす
境界の境目では
今なお死闘が繰り広げられているところだった
もはや
死闘なんかではなく
醜い耐久戦なのかもしれない

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。