【あなたside】
龍水との対談から、時間が経ち
どうやら宝島と呼ばれる場所に
到着した模様だった.
誰かがそう言い、船に残っている者は
掃除をすることになった.
自分の近くに置いてあった箒を拝借し
掃除をする.
嵐の後とは思えない程の、晴天.
南の島ということもあり、太陽の
光が強く、暑さが感じられた.
目の前で、自分の私物が海に落ちていった.
石化前、口に入れ、無事形を保っていた
ロケットペンダント.
私は箒を床に置き、勢いよく海に飛び込んだ.
海の水は冷たく、幻想的な色味がそこには
広がっていた.
落ちていったロケットペンダントを、探す.
息継ぎをこまめにしつつ、無事に見つける
ことができた.
このまま船に戻るのは、
距離的に現実的ではないと錯覚し、
そのまま陸地に上陸した.
ロケットペンダントを
空にかざしながら、私は言った.
ゴールドを基調とした、楕円形のもの.
蓋の部分には、シトリンとスフェーンの
2つが小さく散りばめられており、
角度を変える度に、輝かしい光を放っていた.
私は、過去の事を思い出す.
自分で初めて、店舗に赴き、選んだもの.
商品棚の奥に、一際目立つ輝きを見た時
私は、その輝きに一瞬で虜になった.
買ってから早十数年、
シトリンは購入当初の輝きを保っているが、
横のスフェーンだけが、少しばかりの傷を持ち
かつての輝きは抑えめになった.
それもまた、良い味があると言えるだろう.
その時、船の方角から見覚えのある
緑色の光が視界の端に存在していた.
私は生唾を飲み込んだ.
あれは、石化光線.考えなくても分かる.
3700年前に見た、人類を襲った光線.
咄嗟に、船の方へ全速力で陸を駆け抜ける.
辺りは、驚くほどに静かだった.
私の目の前に写っているものは、2つ.
機帆船ペルセウスと、その上に石となって
倒れている船に乗っていた人々.
私は駆け寄る.
龍水の石像を見て、私は何を
思ったのだろうか.
答えは、分からない.
ただ、悲しいのか何なのかわからない
涙が、私の頬をつたっていた
ことだけは鮮明に覚えていた.
その後は、うまく思い出せない.











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。