第4話

第3章 こわれかけの夢と疾走
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2025/09/09 08:04 更新
「これはまずい! 記憶たちが暴走している!」

ポポロンが慌てふためく。ロッカーの扉ががたがたと震え、中から光が漏れ出している。

「俺のせいだ……」

エルベが自分を責める。

「まだ手放せていなかったんだ。だから記憶が……」

「違う!」

美銀がエルベの手を握る。

「私たちの想いが強すぎたのよ。封印なんかじゃ、収まりきらないくらい」

ロッカーの中から、様々な声が聞こえてくる。

「ねえ、もう一度だけ、一緒に歌おうよ」
「まだ伝えたいことがあるの」
「こわれかけの夢でも、まだ輝いてる」

記憶たちが封印を拒んでいる。青春があまりにも鮮烈すぎて、簡単に片付けられるものではなかった。

「ロッカーバースト現象だ」

ロッカーが厳しい顔をする。

「記憶の密度が限界を超えた時に起こる現象。このままでは……」

「どうなるんですか?」

「記憶が爆発して、この空間を飲み込む。そして君たちは、永遠に過去に囚われることになる」

エルベと美銀は顔を見合わせる。

「でも、逃げるわけにはいかねぇ!」

エルベが立ち上がる。

「これは俺たちの記憶なんだから」

「そうね。最後まで、ちゃんと向き合いましょう」

二人はロッカーに向かって歩き出す。震えるロッカーに手を置くと、記憶の世界に引き込まれていく。

そこは、三年間の思い出が渦巻くスパイラルの世界だった。

入学式の桜、初めての文化祭、雨の日の図書室、屋上での夢の話、そして数え切れない日常の欠片たち。

「全部が混ざってる」

美銀が呟く。

記憶たちは叫んでいる。

「まだ終わりたくない!」
「もっと一緒にいたい!」
「こわれかけでも、夢は夢なんだ!」

エルベは走り出す。記憶の嵐の中を、美銀と手を繋いで駆け抜けていく。

「俺たちが逃げちゃダメなんだ。記憶と向き合って、ちゃんとお別れを言わなきゃ」

疾走する二人。記憶のスパイラルが彼らを追いかける。

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