第3話

第2章 封印の儀式とその涙
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2025/09/09 08:03 更新
「さあ、思い出を一つずつ、そっと中に入れるんだ」

ポポロンの指導の下、エルベはカセットテープをロッカーに入れる。テープが光に触れた瞬間、美銀の笑い声が空間に響いた。

「きゃはは!エルベったら、真面目な顔しちゃって!」

録音された過去の美銀の声。三年前のあの日、二人は屋上で将来の夢を語り合っていた。

「俺、音楽を作る人になりたいんだ。でも、こわれかけの夢かもしれない……」

「こわれかけでも良いじゃない。こわれかけだからこそ、美しいのよ」

その記憶がロッカーの中でゆらゆらと漂う。

美銀も日記帳を入れる。ページが開いて、文字が宙に舞い上がった。

『今日、エルベと初めて話した。緊張して変なこと言っちゃった』

『文化祭の準備、楽しかったな。エルベの歌声、もっと聞いていたかった』

『卒業まであと100日。まだまだ時間があると思ってた』

「美銀……」

エルベは知らなかった。美銀がこんなにもたくさんの想いを日記に綴っていたなんて。

「恥ずかしいでしょ? でも、これも私の大切な記憶。全部、ロッカーに預けて、すっきりした気持ちで卒業したいの」

二人の記憶がロッカーの中で混ざり合う。教室での何気ない会話、廊下ですれ違った瞬間、一緒に見上げた夕焼け空。

「ぽぽい! 封印完了だよ!」

ポポロンが手を叩くと、ロッカーの扉が閉まり始める。

“ガチャリ”

鍵が閉まる音。それは決別の音であり、同時に新しい始まりの合図でもあった。

「これで、俺たちは自由になれるんだな」

エルベがつぶやく。

だが、その時。

ロッカーが震え始めた。

「あれ? これは……」

ポポロンの顔が青ざめる。

中から、小さな声が聞こえてくる。

「助けて……」
「待ってて……」

それは、封印されたはずの記憶たちの叫び声だった。

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