視点 翼
うーん…眠い…
バスの中、大きなあくびをして伸びをする俺に隣の梓がぺしっとお腹を叩く。
それもそうかと、こっそり笑いあう。
ちらりと先生の様子を見たけど、特に何か気にしている様子は無かった。
ふぅ、と息をついて、梓越しに窓の外を見る。
普段だったら見ない田んぼや畑が広がる風景。
そう、何と言っても、今日は校外学習なのだ!
クラス単位でこの地域の町おこしや、田植えの経験をさせてもらうらしい。
しかもなんと一泊2日!
バスに揺られてはや1時間、車内は賑やかで寝ている人は少なそうだ。
うんたらかんたら
校長先生並みの長話に、あくびを堪えつつ何処かにいるはずの零の頭を探す。
ちっちゃいから見つけづらいな
あ、いた
ん?
なんだか顔をしかめて、村長さんの話に耳を傾けている。
伝承…
なるほど、零が反応してるってことは、妖怪関連なんだな
もう一度零を見ると、視線を感じたのか、振り返った。
じっと何か言いたげな顔に、話たいことがあるんだと察する。
頷いたし、多分伝わったっぽいな
これはもしや同盟の出番では?
場所 旅館の部屋
案の定同盟全員が部屋に集まり、会議が始まった。
どうやら零も同じ事を考えていたらしく、薫の提案に頷いた。
まぁ、危険な事ばかりじゃないだろうし、今日はしっかり楽しもう!
場所 外
最初のレクリエーションは、神社の神主さんが教えてくれた組紐作り。
組紐は、ミサンガみたいなやつだけど、特殊な道具を使って作るんだ
そして、ザ・不器用☆な俺は絶賛苦戦中
そう言いながら薫は零を指差す。
やけに話さないと思ったら
1人作業に熱中して、無言。
わぁ……めっちゃきれい…
こそこそ話し合う2人。
なんとも微笑ましい
そんなこんなで始まった一泊2日の郊外学習。
さっきまで晴れていたはずの空に、雲がかかっていた。




















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。