第9話

#8 道中
25
2026/08/17 10:00 更新




翌朝。
朝靄が残る中、二人は黄の街の大きな門をくぐった。
日差しを浴びながら、街道を並んで歩く。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
そういえばさ
 
シルクがふと、ンダホの背中に括り付けられた箒を見上げた。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
箒で空飛ぶのって、やっぱり疲れないもんなの?
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
いや、めちゃくちゃ疲れるよ ! ?
 
ンダホが顔をしかめて笑う。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
長距離飛んだ次の日なんて、全身ひどい筋肉痛だからね
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
えっ、魔法なのに筋肉痛になんの ? !
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
魔法使いだって体力勝負なんだよ!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
万能じゃないんだから!
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
へえー、魔法使いも楽じゃないんだな
 
そんな他愛のない会話で場が和んでいたその時、街道脇の鬱蒼とした森が不自然にざわついた。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
......ッ!
 
シルクの目つきが瞬時に鋭くなる。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
ンダホ、来るぞ
 
草むらをなぎ払い、姿を現したのは巨大な牙を持つ中級モンスターだった。
低い唸り声を上げ、待って二人を品定めするようにじりじりと距離を詰めてくる。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
初陣だな
 
シルクは腰の剣を静かに抜き放った。
その頼もしい背中へ、ンダホが慌てて声を張る。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
あのさ!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
俺、防御と補助魔法が専門だから!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
攻撃はあんまり期待しないでね ! ?
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
十分だ
 
シルクはニッと口角を上げた。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
俺の背中、お前に任せた
 
その一言に、ンダホの顔から怯えが消え、キュッと表情が引き締まる。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
......うん!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
任せて!
 
グルァァァッ!
 
咆哮とともにモンスターが地を蹴った。
シルクは正面から愚直に迎え撃つ。
刃を交え、巨体の突進を絶妙な力加減で側方へと受け流す。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
ンダホ!
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
いっけぇぇぇ!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
アースバインド!
 
ンダホが掲げた箒から放たれた緑の光線が、地面を穿つ。
瞬間、太い蔦が何本も伸び上がり、モンスターの脚を頑丈に縛り上げた。
 
グガッ ! ?
 
動きがピタリと止まる。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
ナイス!
 
シルクの脚が爆発的な踏み込みを見せた。
一瞬の隙。
剣先が描いた閃光は、モンスターの胸元で輝く『核』を正確に穿っていた。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
はぁぁッ!
 
一閃。
ピキリと亀裂が入った核は砕け散り、モンスターの巨体は淡い光の粒となって風に溶けて消えた。
森に静寂が戻る。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
......ふぅ
 
シルクは息を整え、剣を鞘へと納めた。
ンダホは自分の手をじっと見つめたあと、おずおずとシルクを見上げる。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
俺......ちゃんと役に立てたかな......?
 
シルクは振り返り、一切の迷いなく言い切った。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
すごいよ
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
完璧だった
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
え?
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
お前が完璧に動きを止めてくれたから、一撃で決められた
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
一人だったらもっと苦戦してた
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
えへへ......そっか
 
ンダホの顔に、嬉しさと誇らしさが入り混じった笑みが広がる。
シルクはその肩をポンと力強く叩いた。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
これからも頼むぞ
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
......うんっ ! !
 
太陽の光が差し込む森の中に、弾けるような笑顔が咲いた。




モンスターを退け再び街道へと戻った二人は、港町を目指して足を進める。
初戦闘の緊張がほぐれたせいか、お互いの口も軽くなっていた。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
それにしてもさ!
 
ンダホが背中の箒をポンと叩く。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
シルクのあの踏み込み、凄かったな!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
『はぁぁッ!』って、一瞬で距離詰めるんだもん!
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
まあな
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
でも、ンダホの『アースバインド』もドンピシャだったぞ
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
あそこ足止めしてくれなきゃ、俺も直撃食らってたかもしれないし
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
だろ~?
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
俺、補助魔法だけは昔からめちゃくちゃ練習してたんだよね!
 
胸を張るンダホに、シルクはクスッと笑う。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
頼もしいな
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
これならこの先、どんな強い奴が出てきても安心だ
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
ちょっと待って、ハードル上げないで!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
俺、打たれ弱いんだからね ! ?
 
くだらないやり取りで笑い合いながら歩く街道。
夕暮れが近づくにつれ、風の中にほんのりと「潮の香り」が混ざりはじめた。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
......ん?
 
シルクが足を止め、鼻をくすぐる風に視線を向ける。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
香るな
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
海の匂いだ
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
本当だ!
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
近づいてきたんじゃない ! ?
 
街道の緩やかな坂道を登りきると、二人の視界が一気にひらけた。
一望する水平線。
オレンジ色に染まる夕暮れの海と、港にひしめく無数の船の帆。
波の音が、心地よく二人のもとまで届いてくる。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
ついた......!
 
ンダホが歓声を上げる。
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
港町......!
 
シルクもまた、広大な海を見つめながら目を輝かせた。
ここから船に乗り、海を渡れば、次の目的地である「青の街」だ。
 
𐊖𐊦𐊩𐊋 𐊩𐊫𐊠𐊣
よし、行こうぜ!
 
𐊪𐊣𐊠𐋏𐊫
おう!




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