【天乃絵斗】
呂戊太の声で、ふと我に返る。
少し怒って言った。
全く気付かなかった…。
今度は心配そうに聞いてくる。
そう言って呂戊太は皆のところに走っていった。
その5人の後ろ姿は昔の記憶を蘇らせる。
今はもう、心がギリギリと痛む思い出になってしまったけれど。
思えばあなたが居なくなって、何もかも変わってしまった。
なんであの時、らだぁの一言に臆してしまったのだろう。
なんであの時、勇気を出さなかったんだろう。
全部、全部、後悔に変わっていく。
こんな事をしても意味なんて無いのに。
どんどん自分が嫌になっていく。
"あの後"から時間がいつも通りに進まない。
"アレ"は本当はらだぁでは無かったんじゃないか。
らだぁに似ている何かで、らだぁとは何も関係ないんじゃないか。
そう思えたら、それが事実だったら、どれだけいいことか。
そして、そんな事を考える度に思う。
あぁ、やっぱり俺はらだぁを殺してしまったんだ。
いつも1番助けたい人を助けられない。
自分が憎くて、許せなくて、恨めしい。
目の前が掠れていく。
居るわけないって、
分かっているのに。
無駄な期待を抱いて、
後ろを振り向いた。
ほら、やっぱり居ないじゃないか。
小さい高い音が鳴り続けた。
耳障りな目覚ましを止めて、今日の日付を確認する。
もうこんな時期か。
"あの日"が近づくと、夢もそれに伴っていく。
毎日毎日、思い出したくもないあの時の光景。
お陰でこの時期は毎日寝不足だ。
"あの日"が過ぎるとぱたりと見なくなるけれど。
これは僕の贖罪なんだろうか。
そう思うことで胸が少し軽くなっている気がする。
そんなことで許されるなんて思っていないが。
今日は仕事を休んで"あそこ"に行こう。
溜まりに溜まった「話したいこと」を聞かせてあげよう。
書こうと思ってて忘れてたやつでした













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。