夜が明けきる前、牢屋の外で小さな音がした。
カチリ……
鍵が回る音。
扉がわずかに開き、影がひょいと顔を覗かせた。
それは以前、あなたに親切にしてくれた若い村人だった。
囁く声は震えていたが、その瞳は真剣だった。
健とあなたはすぐに立ち上がり、牢を抜け出す。
村人の足音を避けながら辿り着いたのは、村の中心にある広場。
そこに集まった人々の前に、2人は立った。
健は深く息を吸い込み、上着を脱いだ。
ざわめきが広がる。
"……そんなはずは……"と誰かが言いかけた時、あなたが健の腕を取り、まっすぐ見上げた。
その瞬間、健はあなたを抱き寄せ、みんなの前で静かに唇を重ねた。
触れた途端、空気が変わった。
まるで温かな光が二人を包み込み、村全体に広がっていくようだった。
その光景に、村人たちは息を呑み、やがてざわめきが感嘆の声へと変わっていった。
村長が一歩前に出る。
こうして、2人は解放された。
その日から、健とあなたは堂々と村の家で暮らし始めた。
朝日を浴びながら健が微笑む。
あなたも笑顔で頷き、二人の新しい日々が始まった。
もう、鉄格子はどこにもない。
こうして……
村では愛し合う2人のキスが"呪いを解く方法"だと広まったのであった















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。