その日を境に、何ヶ月かの間、あなたちゃんは学校に来なかった。
学校の中でもそれなりに俺ら生徒会メンバーと仲が良くて、生徒会に入ろうと一生懸命努力していた彼女だがお見舞いと請じて会いに行ったときには生気を失った瞳で「ごめん、1人にさせて」なんて言われた。
病院に何度かお見舞いに行ったがいつでもの幼い顔に付いた飾り物のような瞳は閉じられていた。
なんとなくあなたちゃんにとってのお母さんが近くにいないという事実の重さがわかるような気はした。
俺だって、悲しかった。
いくら他人のお母さんでも、俺のお母さんよりも俺のことを大切にしてくれた人がいつも通りじゃないのは本当に、辛かった。
いつのまにか生徒会の紅一点というか、光になっていたあなたちゃんの喪失により生徒会は辛気臭い場所になっていた。
そこで、誰がそんなことを言い出したのか覚えていないが、あなたちゃんの代わりを探そう、なんてことになった。
誰も、反対しなかった。
アオイがただの優しい女の子になるのには、あまり手伝った覚えはない。
ずっと考え事をしていたからだ。
俺はあなたちゃんのお母さんの入院にばかり気を取られていたが、その原因があの優しいあなたちゃんのお父さんだったことを思い出した。
なんでやろ、と考えて1番初めに浮かんだことは、「彼の会社で起こった事故」だった。
会社が火事になったということは、中にあった資料も、機械も全部消えてしまったということで、つまり。
あなたちゃんのお父さんは職を失ったということになる。
就活はしても、焦りからのストレスが溜まった彼はそのストレスの発散方法を最悪な方法で_______
その続きを想像するのなんて、簡単だった。
そしてまた学校に戻ってきたが、アオイに構いっぱなしの生徒会はそれを気にもせずあなたとの記憶をかき消した。
そしてそれを嫌われたのだと感じたあなたちゃんは、俺らの友達から、ちょっとした知人程度のなってしまった。
___回想終了
ひと通り話し終えた俺は喉が疲れたなぁなんて思いながらペットボトルの蓋をくるくると回していた。
なんとなく飲む気にはなれず結局遊ぶだけで終わってしまった。
俺の考察が合っていれば、あなたは別に彼に何かをされたわけではない筈だ。ならきっと、余計にタチが悪い。
本当にギリギリまで真実を知らなかったあなたはある日突然母親を失って、自分を大切にしてくれた父親に裏切られて、勇逸の救いだった学校の友達には忘れられた、なんて
しんどくなるくらいの悲劇ではないか。
はあ、とため息を吐いてまた口を開いた。
ははは、と醜く笑った。
こんなんやったら、またあなたちゃんに嫌いって言われてまうなぁ。









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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!