第47話

47.
185
2025/11/22 06:49 更新


朝の空気が少し冷たくなってきた。

ベランダに出たあなたが「もう秋だね」と呟くと、
ゴヌが背後から毛布をそっと肩にかけた。



「風、冷たいだろ。風邪ひくなよ」


「ありがとう……優しいね」


「いつもこうしてたいだけ」



そのまま、背中越しに感じる体温が心地よくて、
あなたは小さく笑った。












昼下がり。
二人は手をつないで街へ出かける。


並んで歩く道の両脇には、色づいたイチョウや紅葉が揺れていた。


「見て、綺麗……」


「本当だ。あなたの方が綺麗だけど」


「……だからそういうの、さらっと言わないで」


「本音なんだけど?」



ふざけるように笑い合いながら、
小さなカフェに入って、窓際の席に座る。


カプチーノの泡が少し唇についたあなたを見て、
ゴヌが指でそっと拭う。



「……ついてる」


「ん、ありがと──」


「ついでに一口、飲ませて」


そう言ってマグカップを受け取り、同じ場所に唇をつける。


思わず視線が絡み、
静かな秋の午後に、ふたりだけの空気が生まれる。











帰り道、並んで歩く手が自然に強く握られた。



「寒くなってきたな」


「うん。でも、こうしてると平気」


「……じゃあ、ずっとこのままでいいな」


頬を染めながら、あなたは小さく頷いた。











夜。
部屋に戻ると、二人で夕飯を作る。
かぼちゃスープの甘い香りが漂い、
テーブルには焼きたてのパンとサラダ。



「うん、美味しい!」


「でしょ?秋は食欲の季節だからな」


「……なんか幸せ」



食後、ブランケットを分け合いながら、
映画を観る時間。


画面の光が二人の顔を柔らかく照らす。
ゴヌの肩にもたれると、
彼の指先がそっと髪を撫でた。



「最近、あなたといる時間が本当に落ち着く」


「私も。……ずっとこうしてたい」


「なら、約束。来年の秋も、一緒に見に行こう」


「約束だよ」
指切りを交わし、ふたりは微笑み合った。


外では、秋風が静かに木の葉を揺らしていた。
その音がまるで、ふたりの未来を祝福しているようだった。

プリ小説オーディオドラマ