第13話

あっつんとぼっくん
1,055
2022/01/16 06:45
「あっつん!ちょっとトス上げて!!」



木兎は未だに私のことをあっつんと呼ぶ。



あっつんて…ねーみんぐせんす…



『やだよ…ぼっく…』




一年生が自己紹介してるとき、馬鹿みたいに二人で喋ってたら全員にガン見されてた。



赤葦くんだけが淡々と自己紹介を済ませ、ボールを触っていた。







ぼっくんが、急に反応して






「お前!セッターか!チョットだけでいいから…!トス上げてくんね!?」





と赤葦くんに絡みに行った。ぼっくんは基本空気は読めない。





『やめたほうが』





と言おうとした瞬間、木兎の声で自分の声が掻き消された。




最近私の言葉にかぶせてくる人多いな。イラッとする。







「、良いですよ」




しばし、考えつつも赤葦くんは頷いてみせた。




木葉さんや、マネージャーの二人はあちゃー…と顔を見合わせた。







赤葦くんは考えあぐねるように首をひねったあと、二言三言ぼっくんに言う。














「じゃあ、あなたさんの写真下さい」







変に身構えていたぼっくんは肩の力を抜いて







「お、何だそんなことかよ!沢山あるし別に」


と。答えようとしたが私が必死で言葉を遮った。



『ちょ、ぼっくん恥ずかしいからやめてくんない…』





「あ、木兎俺にもちょーだい」




木葉さんまで便乗して…




「エー私もほしい!木兎いつもノート見せてるんだから送ってよね」



かおりさんと、雪絵さんもぶーぶー言い始めて。






なぜにそんなに写真を欲しがるのかわからずに頭を抱えていると




ぼっくんは、赤葦くんにどんな写真がいいか見せ始めた。





『ヤメテ!!ぼっくんほんとに!!恥ずか死ぬから!!!』



今までこんなに声貼ったことないってぐらい…声張ったかもしれない。




「これ中学時代のあなたさんですか」
赤葦が、黒曜石色の目を輝かせている。




「このときすごい、やさぐれてたんだよなぁ」
恥ずかしい。何が悲しくて自分の写真を公開されなければならないのか。

プリ小説オーディオドラマ