カツン、カツン、と
人が二人歩く音が廊下で響く
イレイザーはあまり足音がしない
……だから、実質、
私だけの足音のようにも感じられるけど
ヒーローとして生きるようになってから
作り笑いをする機会が増えた気がする
頭も体も何もかもが疲れるけど
それでも作り笑いを続けるしかない
教室の中から声が聞こえる
……嗚呼、そういえば
だいぶ前に私が傷をつけた生徒が
このクラスにいたんだっけな……?
なんて考えながら、ドアを開けた
1年A組の生徒に向かって
ひらひらっ、と軽く手を振る
……笑えてるかな?私
【 緑谷出久side 】
今日、僕たちがやる授業内容は
簡単に言うと「 体力勝負 」である
ヒーローとして活動する上で
大切になってくるのは持久力だ
それをネクロと勝負する……
ただ、それだけの授業
シンプルな方がわかりやすいし、
その方が僕たちにもネクロにも
有難いとは思うけれど
……シンプルすぎるような気が、する
ぞわり
ネクロが笑った
ヒーローとして活動する
ニュースを見た時も
今さっき教室に入ってきたときも
いつだってネクロは仮面の下で……
顔の上半分が隠れている状態で、
静かに、優しく、ずっと笑っている
だから違和感を感じることはないはず
それなのに
身の毛がよだつような
敵を目の前にした時のような
そんな雰囲気に、一瞬なったのは
……気のせい、だったのだろうか?














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。