ここに一人…信者がいた。
ここで言う信者とは…
恋愛的な意味と勘違いをする人がいるのですが、
神のように崇め、称えることです。
この信者は、佐藤初香…そしてもうひとり、
そう…もうひとりは…浅川彩芽。
二人の信者をしているのです。
その人は保中愛。
心の中で二人を神のように称えているのだ。
なぜ保中愛は心の声で言うのか…それは授業中だからではない。
そこには理由があった。
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2年前…中学2年生
2年前までは声に出していた…だが…
トイレの方から声がした。
保中愛は…盗み聞きをしようとしていた…
聞いてしまった。聞かなければよかった。
そんなことが保中愛の頭の中にめぐった
それを聞いても別の信者対象はできてしまう。
だから…心の中で…言おう…そう誓った。間違っても本人には言わないように
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それから2年ほどたち…今、高1になった。
今も…これからも…心の中で…崇めよう
1話 終わり
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。