あなたside
よぉーし。入学手続きかんりょー。
らしいです。優斗によると。
なんか、訳もわからず優斗についていってる。
『優斗。どこ行ってるの?
入学手続き終わったんじゃないの?』
高橋「制服と鞄とローファー」
『うげぇー、めんどー・・・』
高橋「厳しいの身なりだけだから」
『う~ん・・・』
高橋「授業の様子は二人に聞いて」
『はーい』
厳しいの身なりだけって・・・。
せめて、厳しいのは授業だけにして・・・。
あー、でもそれも嫌だなー。
身なりが厳しいってどんな感じかな?
長谷川みたいだったら嫌だよ?
私退学するよ?絶対。
だって当たり前じゃん?
あ、そういえば、私退学届け出してないな。
出さないといけないのかな?
高橋「あなた」
『ん?』
高橋「ついたよ」
『あ、ここ?』
高橋「うん」
『私ん家の近く・・・・』
高橋「え、嘘・・・」
『マジ。歩いて数分』
高橋「え、制服とったら荷物取りに行く?」
『いいの?』
高橋「いいよ」
『あんがと』
高橋「じゃ、行こ」
『うん!』
制服の準備とか終わったんで、
家に一旦帰ります。
今日はどうした?
優斗、家に帰るな的なこと言ってたのに、
高校、家、どこにでも行かせてくれるじゃん。
『あ、着いた』
高橋「ここ、!?」
『え、うん』
高橋「一軒家・・・」
『・・・・・w』
高橋「あ、早く取っておいで、荷物」
『あー、うん』
ガチャ
あれ?鍵、開いてたっけ?
昨日家出るときは、ちゃんと閉めたよね?
『ッ・・・・・・・』
高橋「あなた?」
『え、あ、何?』
高橋「入らないの?」
『あ・・・』
高橋「?」
『一緒に、来て・・・・・』
高橋「え、?」
『一緒に行こ・・・・・・・・・・』
高橋「いや、さ、でも・・・」
私は断り続ける優斗を無視して
無理矢理引っ張って中に入れる。
高橋「ちょっ、あなた」
?「誰だ?」
高橋「え?」
『ッ!!!』
?「あなた」
『・・・・・・おばあちゃん、おじいちゃん・・・』
祖父「誰だ。この男は」
祖母「昨日、遅くまでどこ行ってたんだ」
『・・・知らない・・・知らない!
何でいちいち言われないといけないの!
もう嫌だ!この家、もういらないから!
捨てちゃっていいよ。
この家も、私のものも全部!』
グイッ ガチャ タッ
私は優斗の腕を引っ張り、家を飛び出す。
行くなんて言わなければ良かった。
まさか、会うなんて思ってなかった。
もう本当に嫌だ。
私、誘拐されたの好都合かもしれない。
あの苦しいところからは解放される。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・良かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。