第3話

偶然
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2018/03/04 12:32
彩瀬 翔
疲れた…。
いつもより長く感じた1日が終わった。

あの転校生は、早くもクラスに打ち解けていた。あの人懐っこいところはもともとなのだろう。彼女の周りには常に人がいた。


(それに…。)


卒業を前に、最後の課題を出された。




“これからの自分”


というテーマの作文だ。


卒業論文のようなものだろう。“これからの自分”なんて、小学生でも書きそうなテーマなのだが、
担任
これから、皆は大学生や社会人になる。だから、高校3年生の卒業前というこのタイミングで、“これからの自分”について作文を書いてほしい。小学生や中学生、ましてや大学生や高校1、2年生では書けない、高校3年生の貴方達にこのテーマで書いてもらうことに意味があるの。

…だそうだ。

高校3年生だから書ける“これからの俺”_____。



加治 結
あーやーせーくん!
彩瀬 翔
うわっ!
後ろからドンッと誰かに押され、思わず前によろめく。
彩瀬 翔
って、加治!?
加治 結
こんなところで会うなんて偶然だね!今、帰り?
彩瀬 翔
…あぁ。
今日1日を過ごして、最低限彼女とは会話できるようになった。が、まだ苦手といえば苦手だ。
彩瀬 翔
加治は?
加治 結
そこの公園で子供たちと遊んでたの!
彩瀬 翔
は…?
彼女の指を指すほうを見ると、昔、よく大河と遊んでいた桜木公園が目に入る。
そして、公園内には4、5人ほどの子供たちが遊んでいる。
子供
結お姉ちゃーん!早く早く!!
加治 結
はーい!
じゃあ、私行くね!
彩瀬 翔
…おう。


(高校3年生になって、小学生と公園で遊ぶやつ、初めて見た…。






やっぱりアイツ、)



彩瀬 翔
変なやつ…。

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