いつもより長く感じた1日が終わった。
あの転校生は、早くもクラスに打ち解けていた。あの人懐っこいところはもともとなのだろう。彼女の周りには常に人がいた。
(それに…。)
卒業を前に、最後の課題を出された。
“これからの自分”
というテーマの作文だ。
卒業論文のようなものだろう。“これからの自分”なんて、小学生でも書きそうなテーマなのだが、
…だそうだ。
高校3年生だから書ける“これからの俺”_____。
後ろからドンッと誰かに押され、思わず前によろめく。
今日1日を過ごして、最低限彼女とは会話できるようになった。が、まだ苦手といえば苦手だ。
彼女の指を指すほうを見ると、昔、よく大河と遊んでいた桜木公園が目に入る。
そして、公園内には4、5人ほどの子供たちが遊んでいる。
(高校3年生になって、小学生と公園で遊ぶやつ、初めて見た…。
やっぱりアイツ、)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!