不服そうな顔で荼毘はボスを睨め上げてる
確か父親がヒーローなんだっけ
何言ってんのこののっぺらぼう
いや意味はわからなくもないけど
外見とか全然似てないじゃん
一つどころじゃないじゃん違い
第一髪の毛ないし
酸素マスクをつけた口の
その口角を上げてニヤニヤ笑っている
妖怪よりも気色悪い
人間目線の妖怪ってこんな感じなのかな
身の毛もよだつような
奇妙な感覚だ
わたしたちのボスは一体どんな怪物なんだろ
数日。
その間に弔はどんどん回復していった
あれは正気じゃなかったなぁ
弔はしゃがんでわたしの顔を覗き込んだ
かと思えばかっと目を見開く
グイッと顔を引き寄せられる
真っ赤な瞳がじっとこちらを見つめる
これ…?
ああ、お札のことか
びっくりした
霊力が封印されてるのももう慣れてきたけど
憎しみはブクブクと膨らみ続けている
長すぎるスカートを少し上に上げて
膝にぶつけられたお札も見せてみる
そんなグロいのかな
まあいいや
ぱっと裾を離して
弔の前に向き直ってみる
これはほんとのほんと。
いつまでも引き摺ってたら幸せなまんま蝋野朱美が死んじゃうし
わたしのこの復讐心が一生収まらない
だから…
手から小さい海坊主を呼び出して
弔に差し出す
弔の頭の上にははてなマークが浮かんでいる
あ、説明忘れてた
妖怪じゃないし
話がわからないのか
彼の前では笑ってみせるが
わたし自身何が起こるか全くと言っていいほど予測できない
人間に手こずったのも
霊夢以来だし
普通の感性なら
前までのわたしなら怖くてそんなの想像もできないけど
今はこう考えられる
最悪
わたしは怨霊になってしまうんじゃないかな
わたしは消えてなくなっちゃうんじゃないかな
或いは復讐を終えてまた普通に生活してるのかな
そんなことを考えてたら
弔は無言のまま固まっていた
うっすらと涙が浮かんでいる
そう言う彼は歯を食いしばっている
無理しているのが見え見え
意外と人間らしいとこあるなぁ
そういうと
弔は安心したのか
ニコリと笑った













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!