ナムジュンの瞳は……鋭く、俺を見据えていた。
少しでも気を緩めたら……
顔を背けてしまうくらいの気迫だった。
でも、どうしても俺は……伝えたかった。
俺の、好きなものたちを……
ずっと、「好き」でいたい事を。
ナムジュンは……………
落ち込んだように身体を前に倒して
組んだ手で頭を支えて、考え込んでいた。
ここまで伝えても……反対されるかもしれない。
家族だって……親友だって……………
解りあえない事は、必ずあるから。
ナムジュナは、ゆっくりと顔を上げると……
ジン兄さんの様子を伺った。
ジン兄さんは……………
相変わらず、穏やかな顔で
俺たちを見ていた。
兄さんは、いつものように。
優しく、柔らかく……………微笑む。
隣にいたナムジュナの背中を、ポンと叩いて……
そっと、撫でている。
ジン兄さんも……ナムジュナも………
ちゃんと、自分の考えや信念を持ってる。
そして、有り難い事に………
その考えのどれもが、最高に良く思えて。
そして………俺も「同じ」だ……と、共感できて。
身体が、心が、魂が……共鳴して、叫んでいる。
この二人と………
家族で……仲間で…………良かった………って
再認識、した。
俺がそう口に出した瞬間に………
ジン兄さんとナムジュナは
お互いの顔を合わせて……ニヤリと笑った。
とりあえず……………大きな壁は……………
越えられた……………かな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!