遼東の豕ーりょうとうのいのこ
独りよがりでいること。また、自分だけでよいと思いこみ他の考えを聞こうとしないこと。
雨である。
今日の天気は、それはもう荒れに荒れていた。
この前のなんちゃって事件がきっかけで降谷零と景光(特に降谷零)私の周りをうろちょろするようになったのだが、今日はその降谷が休みなのでなんだか静かである。
降谷零はなんか事あるごとに突っかかってくるのだが、景光は休み時間にたまに会話するぐらいで、降谷零がいない今日は殆ど喋っていなかった。
マァ死にたくないし、これくらいの距離感がちょうどよいだろう。
さらっと授業を聞き流しながら、窓の外を眺める。流石に小3の範囲など楽勝すぎるのでまともに聞いてなくても特に問題はないだろう。
…しかし、それにしても凄い量の雨だ。こりゃ帰るとき傘さしてもちょっと濡れるな。
雨の音に誘われて出そうになるあくびをかみ殺して、黒板へと向き直る。寝てしまったら内申に傷がつくから気を付けなくてはいけない。景光でも眺めて気を紛らわそう。
はー、今日も景光は大変ぷりちー。やっぱしこれくらいの距離感で眺めているくらいが安全でいいよねぇ。
帰りの挨拶が終わり、生徒たちが一斉に教室を出る。
私もいつも通りぼっちで帰ろうかと思っていたら、教室のとある場所が目についた。
そう、景光の席である。
いつもなら景光は降谷零と共にいの一番に教室を出ていくと言うのに、何故か今日はいまだ席に座ったままだ。
心なしか顔も暗く見える。心配だ。
…
ああ、そういうことね。私は陰キャだしぼっちに慣れてるけど、この頃の歳の子は一人苦手な子が多そうだ。偏見だけど。
できればあまり関わりたくない…しかし、推しの顔を曇らせたまま放置するのはもっとしたくない。景光は曇った顔も可愛いけれど、笑っている顔の方がずっと素敵だ。
そうやって、ランドセルを背負い二人で歩きだした。
は?可愛すぎるだろ。可愛すぎて逆にイラついて来た。
景光は名前呼びを許してもらってパッと、花が咲いたように笑顔になった。マジ尊い。
推しから名前呼びされるのって合法かな?一周目世界の景光ファンに殺されない?
たしかにまた明日、とは言ったけどさぁ……
まさか、朝から押し掛けてくるとは思わないじゃん…
チョロい主人公
あんまり関わりたくないって言ってるのに悩んでそうだったりとかしたら結局関わっちゃうチョロい女。一周目からのお人好し癖が抜けず、人の悲しそうな顔とかに弱い。
将来景光にその性質がバレ付け込まれる。
恋に落ちた少年
一人寂しがっているところに声をかけてくれて自分のことを放っておけないというあなたに恋に落ちた。恋に落ちるきっかけなんて結構何気ないことだったりする。
これからどんどんヤンデレに進化してゆく












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。