第24話

桜舞い君は微笑むside2. 🖤💙💚
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2024/04/01 07:00 更新
阿部亮平
え?
「えっ、て何よ。」


「ほら今年から高二でしょ、頑張りなさいよ。」


「あと、今日の入学式の挨拶もね。」
阿部亮平
うん、お母さん。

まさかの実験成功…?


目覚めた時、俺には前世(そういっていいのか?)の記憶が残っていた。


じゃあ前世の阿部亮平はどうなった?とか


俺は今も研究してる?とか疑問しかないが


とりあえず入学式に向かった。




阿部亮平
あっ懐かしい…

学校の最寄り駅で降りて思わず言ってしまう。


実際には時間は経ってるわけではない?と思うから


懐かしいって言うのは変な気がしたけど。


けど、俺が当時見てた駅とは違っていた。


人の量が尋常じゃない。


ここは基本学校に通ってる人くらいしか使わない。


なのにこの人の量。
阿部亮平
なんかあったんですか?

近くにいた人に聞いてみた。


『なんか先月事件があったらしくて


それで人が集まってるみたいですよ。』
阿部亮平
そうなんですね。
阿部亮平
ありがとうございます。

つまり野次馬ってことか。


阿部亮平
あれっ先月の事件って…
間違いない、これは俺のことだ。


そりゃあそうだ、だってテレビに出たこともあるから


まあまあ知ってる人はいたはずだ。


そんな人が死んだとなれば、


マスコミは報道しないわけがない。


そんなマスコミに呆れていると、


同じ制服を着た青年が困った顔をしていた。
阿部亮平
あれ、大丈夫?
阿部亮平
君、俺の高校の新入生だよね?
目黒蓮
えっ、あっはい。


それが目黒蓮という男との出会いだ。
なんとか入学式の挨拶をやりきって、


後心配なのはクラスのことだけだった。
渡辺翔太
今年もよろしくな、阿部ちゃん。
阿部亮平
うんそうだね、よろしく、翔太。


えっと名前は…渡辺翔太。


翔太って俺の口はすらっと言っていたけれど


もちろん初対面。


でもなぜかずっとこうして過ごしてきたかのように


名前とかその人との接し方を体が覚えている。


これが渡辺翔太との出会い。


顔が良くてモテそうだなっていう印象だった。





衝撃の人生二周目の始まりから一年が経った。


彼らとの関係は今も尚続いている。


そして、俺はこうして生活している中で気づいた。


この生まれ変わりの薬で俺はもう一度生きているが


名前は変わっていないのに


元の阿部亮平とは全くの別者として認識されているということに。


確かに元の阿部亮平は死んだ。


それは全員が認知している。


先生も時々元の俺の話を懐かしむようにする。


でも今の俺も阿部亮平だ。


けれど、彼らは元の俺と今の俺が一緒であるとは
全く気づいていない。


あっでも一人だけ元の俺の存在すら知らない者がいる。


お母さんだ。


お母さんの記憶には元の俺は存在していないはずだ。


仕方ないとは思う。そうじゃないと都合が悪いし。


でも、時々思ってしまう。


元の俺を忘れられるのも寂しいなって。


研究を頑張ってた俺が一切お母さんの記憶にないのは


少し苦しいなって。


今の俺の存在ごと全て記憶から消えてしまえば


元の俺だけを覚えていられるかなって思ってしまう。


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