第26話

桜舞い君は微笑むside4. 🖤💙💚
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2024/04/03 07:00 更新
💚side


ついに迎えた卒業式、の前日。


俺にとっては二回目。


俺は、卒業式という大切な日を、


俺の二度目の人生が始まった日を


俺の二度目の人生を終わらせる日にしようと決心した。


俺がこの世界を歪めてしまっているのなら


俺が消えれば元通りだよね。


前々から分かってはいた。


俺は完璧じゃないからこの薬には限度があると。


いつか終わりが来るのなら


俺はこの日を終わりの日にしたかった。


誰かに迷惑をかけることがないように。


自分の勝手は自分で解決をする必要がある。


そのために俺は今日まで準備をしてきた。


俺の存在を全て消してしまってから


この世界に別れを告げる。


この二年間で俺は気づいた。


本当の死は全員の記憶から消えることなんだと。


俺は何度も生まれ変わる前の俺の話を聞いた。


彼らの中にはまだ前の俺が残っていた。


でもそれだとこの世界に不都合が生まれる。


だから俺は今の俺の存在を完全に消す。


これで未練なく終われる。









目黒蓮
先輩と最後、話したいので俺らが出会ったとこで待っていてもらえませんか?
何度も君をかわしてきたのは悪いと思ってる。


けど、ごめん、君と最後会ったら、


この世界に未練が残ってしまうから。


俺はこのメールにこたえることができないよ。












阿部亮平
もうこれから会えなくなっちゃうね…。
いつも君を待っていた駅のベンチに腰掛け


なんとか心を落ち着かせ別れの言葉を紡いでいく。


君はまさか…って顔をしてる。
阿部亮平
だって俺、遠くへ行っちゃうから…。
君が到底辿り着けない場所へ行くから。
渡辺翔太
何言ってんだよ、どこへ行ったって絶対会いに行くから…。
阿部亮平
……ううん、もう無理なんだよ。


君と俺はそもそも交わるような世界線にいなかった。


君が電車に意識を向けている隙に俺は薬を飲んだ。


君たちが俺の存在ごと消して


この世界から消える魔法をかけてくれるように。


生き返れる薬がBLOOMなら


終わりの薬はFLUTTERにしようかな。


舞って終われたら全て残らないで済むから。
渡辺翔太
あっ電車来た……。
渡辺翔太
ほらっ行くよ、
あっ薬効いてきたのかな。


だんだん意識が薄くなっていってる気がする。


俺の目はもう開こうにももう重くて開けない。


君の顔を見れなくなって


俺はもう涙を堪えることができなくなった。


君が見ているから、涙は我慢したかったんだけどな。


もう耐えられなかった。
渡辺翔太
早く…乗り遅れるから…。
阿部亮平
ごめんね、俺はその電車に乗れないんだ…。
阿部亮平
もう…お別れ…。
あっ、最後にもう一度顔だけ見ておきたいな。


なんて思ったけどもう遅かった。


頑張って細く開いた目には桜しか写ってくれなかった。


君の顔は舞う桜で見えなくなった。


どうせなら見たかったな。


わがままなのは分かってる、けど。





「まもなく、電車が発車いたします。」
アナウンスが聞こえて俺は終わりを悟った。


電車が発車するときに吹く風で


この桜は全て舞ってしまう。


この桜が全て舞ったとき、俺は消える。
阿部亮平
何があっても、会いに来ちゃダメだからね?
ごめんね。


俺が会いに来ちゃったから、


君を悲しませることになっちゃった。


でももう…忘れられるよね……?




🖤side
目黒蓮
阿部亮平さん、どうか空でもお元気で。
目黒蓮
ただ一つだけ言わせて?
目黒蓮
何度も言うけど、俺は貴方のことが大好きでした。
目黒蓮
鈍感でおっちょこちょいで一人にしておけない、そんな貴方に惹かれていました。
目黒蓮
そっかぁ桜に攫われちゃったんだね…。
目黒蓮
でも舐めないでね、俺の愛を。
目黒蓮
──────貴方と出会えて俺は幸せでした。
二度目の告白。


一つだけ言わせて?って言ったけど


言いたいことは全然一つなんかじゃない。


もっといっぱいある。


でも今言ってももう遅いから。


渡辺翔太
大丈夫…か?
目黒蓮
逆に、大丈夫なんですか?
渡辺翔太
いや、
目黒蓮
同じです。
同じ人を好きになった人なんだから、


この気持ちは分かってもらえる。







ラウール
あ…めめとっ…翔太くんっ……。
ラウールが走ってきた。


でもどこかいつもと様子が違う。
目黒蓮
どうした?ラウール。
ラウール
はぁはぁ…
ラウール
阿部ちゃんっ…阿部ちゃんっ……。
ラウール
僕…が気づいて…いたら……っ。
渡辺翔太
大丈夫か?一旦落ち着け。
ラウール
はあはあ……すいません…。
渡辺翔太
いや、大丈夫。
ラウール
ねぇめめ、
目黒蓮
ん?
ラウール
俺のね、憧れの、人の話を、前にしたじゃん…?
目黒蓮
あぁ言ってたな。
目黒蓮
会えてはないって言ってたよな。
ラウール
そう、それがね、それが……っ
その後、ラウールの放った言葉は衝撃的だった。


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