💚side
ついに迎えた卒業式、の前日。
俺にとっては二回目。
俺は、卒業式という大切な日を、
俺の二度目の人生が始まった日を
俺の二度目の人生を終わらせる日にしようと決心した。
俺がこの世界を歪めてしまっているのなら
俺が消えれば元通りだよね。
前々から分かってはいた。
俺は完璧じゃないからこの薬には限度があると。
いつか終わりが来るのなら
俺はこの日を終わりの日にしたかった。
誰かに迷惑をかけることがないように。
自分の勝手は自分で解決をする必要がある。
そのために俺は今日まで準備をしてきた。
俺の存在を全て消してしまってから
この世界に別れを告げる。
この二年間で俺は気づいた。
本当の死は全員の記憶から消えることなんだと。
俺は何度も生まれ変わる前の俺の話を聞いた。
彼らの中にはまだ前の俺が残っていた。
でもそれだとこの世界に不都合が生まれる。
だから俺は今の俺の存在を完全に消す。
これで未練なく終われる。
何度も君をかわしてきたのは悪いと思ってる。
けど、ごめん、君と最後会ったら、
この世界に未練が残ってしまうから。
俺はこのメールにこたえることができないよ。
いつも君を待っていた駅のベンチに腰掛け
なんとか心を落ち着かせ別れの言葉を紡いでいく。
君はまさか…って顔をしてる。
君が到底辿り着けない場所へ行くから。
君と俺はそもそも交わるような世界線にいなかった。
君が電車に意識を向けている隙に俺は薬を飲んだ。
君たちが俺の存在ごと消して
この世界から消える魔法をかけてくれるように。
生き返れる薬がBLOOMなら
終わりの薬はFLUTTERにしようかな。
舞って終われたら全て残らないで済むから。
あっ薬効いてきたのかな。
だんだん意識が薄くなっていってる気がする。
俺の目はもう開こうにももう重くて開けない。
君の顔を見れなくなって
俺はもう涙を堪えることができなくなった。
君が見ているから、涙は我慢したかったんだけどな。
もう耐えられなかった。
あっ、最後にもう一度顔だけ見ておきたいな。
なんて思ったけどもう遅かった。
頑張って細く開いた目には桜しか写ってくれなかった。
君の顔は舞う桜で見えなくなった。
どうせなら見たかったな。
わがままなのは分かってる、けど。
「まもなく、電車が発車いたします。」
アナウンスが聞こえて俺は終わりを悟った。
電車が発車するときに吹く風で
この桜は全て舞ってしまう。
この桜が全て舞ったとき、俺は消える。
ごめんね。
俺が会いに来ちゃったから、
君を悲しませることになっちゃった。
でももう…忘れられるよね……?
🖤side
二度目の告白。
一つだけ言わせて?って言ったけど
言いたいことは全然一つなんかじゃない。
もっといっぱいある。
でも今言ってももう遅いから。
同じ人を好きになった人なんだから、
この気持ちは分かってもらえる。
ラウールが走ってきた。
でもどこかいつもと様子が違う。
その後、ラウールの放った言葉は衝撃的だった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。