第3話

003┊︎ 任務当日の朝
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2025/08/03 00:00 更新
薄明るい光が、障子の隙間から静かに差し込んだ

朝霧を含んだ風がひんやりと頬に触れる

空はすっかり夜を抜けて、少しずつ朝の色を帯び始めていた


私は布団の上でしばらく天井を見つめていた
心臓がいつもより静かに‪”‬緊張‪”‬しているのがわかる


あなた
(いよいよ、今日が初任務か)
そう思ってゆっくりと体を起こすと
ふと、障子の向こうから足音がした……
時透 無一郎
…起きてる、?
聞きなれた声に思わず笑みがこぼれる
あなた
無一郎くん、おはよう
時透 無一郎
……うん、おはよう
そっと障子を開けて、彼が部屋に入ってくる

手には、小さな包み
時透 無一郎
朝ごはん作ってもらった
ちゃんと食べて行って
あなた
ありがとう
あなた
わざわざ持ってきてくれたの、?
時透 無一郎
うん、昨日眠れなかったんでしょ
ドキリとした、図星だった

無一郎はこっちをじっと見つめたまま、少しだけ眉を寄せた
時透 無一郎
顔がちょっと疲れてる
緊張しすぎ
あなた
……バレたか
思わず笑ってしまうと、彼は小さくため息をつく
時透 無一郎
初任務で誰だって緊張する
でも、あんまり考えすぎない方がいいよ
時透 無一郎
君ならちゃんとやれる
昨日も言ったけど、僕はそう思ってる
その言葉に胸の奥がじんわりと温かくなる
あなた
ありがとう
あなた
無一郎君がそう言ってくれると勇気が出る
時透 無一郎
じゃあ、ひとつお願いしてもいい?
あなた
お願い、?
彼は黙って、それから言った
時透 無一郎
出発する前に僕の所に来て、見送りしたい
私は目を見開いた
あなた
でも、朝早いし
時透 無一郎
関係ない…行く前にちゃんと顔が見たい
そういう彼の声は小さいのに真っ直ぐだった

それだけで胸がきゅっとなる
あなた
わかった、行く前に絶対会いに行くね
無一郎はほんの少し、微笑んだ
時透 無一郎
うん、それなら安心して待ってる


そうして彼は立ち上がり部屋を出る前にふと振り返った
時透 無一郎
ねぇ――君が‪”‬帰ってくる場所‪”‬はちゃんとここにあるよ
だから帰ってきて
その言葉が私の背中を優しく押してくれた









――そうして数時間後

私は背筋を伸ばし、刀を構え任務地へ向かう列にいた


でも出発の直前
ほんの一瞬だけ振り返ると、遠くの木陰に‪”‬ひとりの少年‪”‬が立っているのが見えた

風に揺れる羽織
じっとこちらを見つめる、真っ直ぐな眼差し
あなた
(見送りに来てくれたんだ)
私は軽く手を振って、小さく口の形で
あなた
「行ってきます」
と伝えた

その瞬間彼もそっと唇を動かした
時透 無一郎
「気をつけて、絶対生きて」
私はもう一度頷いて前を向いた

足元の地面が、少しだけ力強く感じられた
――任務が始まる




 でも同時に
 2人の‪”‬なにか‪”も始まっていた
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