第16話

薔薇病の手ではなく (若干夢かも)
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2026/03/01 06:00 更新
薔薇病の口に殺されたい
具体的に言えば、
否定されたり拒絶されたりしたら進行してやがて死に至る奇病患者として入院してる私が、まだ奇病があまり進行していない時期の薔薇病と進行してきた今の薔薇病を混同するというか大変になっているということを知らずに前と同じように接していたけども、奇病によって衝動的に否定したり拒絶してしまう薔薇病によって双方が望まぬ形で私の奇病が進行していき、私はもう長くはないんだなと薄々気がついて、心残りがないようにと思い色々なことをやりきるけど薔薇病関連のことが最後まで残り続けている状態で、そういえばふと気になって逆鱗に触れるを超えて地雷原を煽りエモートで飛び回るレベルの禁忌ワード、そんな話題を投げ掛けてしまって、初めて聞いた地の底を這うような敵意に満ちた冷たい声を認識した瞬間に頬を裂く熱によってビンタされたのだと気が付きながら同時に胸ぐらを掴まれ、睨み付けられながら失望され、突き飛ばされて尻餅を付いたあと、見たこともないほどに怒り暴れて自分を拒絶し罵る薔薇病に驚きつつ、薔薇病の態度に心を痛め、それによって残り少ない時間を失いながら謝るけど、頭に血が昇ってしまった薔薇病は当然そんなので落ち着くわけもなく、誰かによって呼ばれた看護師によって薔薇病が連れていかれるのを眺めることしかできず、連れていかれる間も薔薇病は自分を罵倒するから喧嘩別れみたいになってしまい、気まずさに耐えかねて部屋に戻り、後悔と激痛に顔を歪めながらも最後のお手紙を書き終えて、なんでもないような顔で食事をして、その日の夜に永遠の眠りにつくんだ。
その間に、しばらく経ってようやく落ち着いた薔薇病はどうかしていた、と自分のしてしまったことに気がついて顔を青ざめながらどうしようと呟くけど、隔離されているから今現在何かできるはずもなく、ぐるぐると思考を巡らせながらもなんとかひとまずの答えを出し、明日の朝一番に謝りに行こうと決めてその日はひとりで食事をして眠るんだね。
こういう問題が起きたときに謹慎になるかとか、期間はどのくらいかとかはわからないけどもさ?
謹慎が次の日になって、大丈夫そうだと判断されたら解放とかだと想定して、いざ外に出て私の病室に来ようとするじゃん。
そして廊下を歩いている最中に馴染みのある不快なアラームが鳴るの。ナースコールが。透明病の悪戯ではなく、その真の意味としての音で。
嫌な予感に背筋が凍り走り出して部屋に飛び込んだ薔薇病が見たのは、涙の跡が残るベッドで動かなくなった私の亡骸なんだよね。
傍らに遺された手紙を開けた発見者は、宛名が無かったから開けちゃったんだ。そして手紙の中身をそのまま薔薇病に手渡すの。遺書をダイレクトに開ける覚悟もさせないままね。先に読んじゃったんだよね、その子は。だから最後の贈り物を他人に先に開封されてから手にすることになるんだね薔薇病。薔薇病。好きだよ。ビンタしてほしい。でもそれ以上に奇病の症状で罵って心ない言葉で突き放してほしい。そして薔薇病の心の傷のひとつになりたい。

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